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日立、ブレードサーバの新モデルを発表――保証期間を2年間延長Nehalemを搭載

日立は3月10日、同社のブレードサーバ製品に新モデルの追加および機能強化をすると発表。開発コード名「Nehalem」として知られるインテルの次世代Xeonプロセッサを搭載し、保証期間も従来の5年間から7年間へと延長される。出荷は4月1日から。

» 2009年03月10日 21時55分 公開
[石森将文,ITmedia]
BS2000 新発表のハイエンドモデル「BS2000」。プロセッサにはインテルの開発コード名Nehalemを搭載し、日立の仮想化技術「Virtage」も標準で採用される

 日立製作所(以下、日立)は3月10日、同社のブレードサーバ製品に新ハイエンドモデル「BS2000」を追加し、またミッドレンジ向けの小型高集積モデル「BS320」の機能を強化すると発表。インテルの新プロセッサ(開発コード名:Nehalem)を搭載し、4月1日より販売開始する。

 今回、新たにラインアップに加わった「BS2000」は、日立が独自に開発しているサーバ仮想化機構「Virtage(バタージュ)」により、従来比約2倍の仮想サーバ集約率を実現するとともに、現行のハイエンドモデル「BS1000」に比べ、4倍のメモリ容量(最大144ギガバイト)、7倍のI/O性能を有するという。従来モデルでVirtageを利用するには、「Virtageモデル」として用意された機種を導入する必要があったが、BS2000にはVirtageが標準で採用されている。

 また、新開発の電源ユニットによりAC/DC変換効率を7%改善し、結果92%という高いレベルを達成した。従来、AC/DC変換効率を問う際には、高付加時の変換効率に着目することが多かったが、今回の電源ユニットではサーバ負荷率が20%弱であっても80%を超える効率を維持し、アイドル時からピーク時まで一定した変換効率を実現している。なお米国EPRIが策定する「80 PLUS Gold」の認証も取得した。

 開発に際しては、メインフレーマーとして培った日立の高信頼化技術を投入し、基幹システムにおける信頼性、保守性を高めたという。例えば、メモリやI/Oエラーなど広範囲にハード障害のログを取得し障害解析時間を短縮したり、システム稼働中のファームウェア更新が可能になったりしている。なお、BS2000は新開発のシャーシを採用しており、従来モデルBS1000との互換性はない。

 BS320の強化ポイントとしては、まず従来モデル比1.5倍の48ギガバイトという、と最大メモリ容量の増加が挙げられる。また日立の統合運用管理ツール「JP1/Performance Management」との連携により、仮想化環境の稼働状況に合った物理リソースの最適な配分ができるようになったほか、「JP1/ServerConductor/Blade Server Manager」により、物理サーバと、VMwareやHyper-Vで構築した仮想化サーバを一元管理できる。

 またBS320においては、サーバブレードのラインアップが拡充され、その適用範囲が拡大する。具体的には、外部ストレージ/LANスイッチ/アダプタを追加することなく、最大6台のHDDを導入できる「HDD拡張サーバブレード」や、ネットワークポート数を拡張できる「PCI拡張サーバブレード」が、2009年7月から9月にかけて販売開始される予定だ。この結果、外部のバックアップサーバを経由してバックアップ装置に接続する構成を取らずとも、BS320シャーシ内にバックアップサーバを統合するような運用が可能になる。

BS2000(左)およびBS320(右)の特徴(それぞれ画像クリックで拡大)

保証期間を2年延長――業界初となるロングライフサポート

北野昌弘氏 日立 情報・通信グループCSO 兼 経営戦略室長 北野昌弘氏

 なお両機種とも、業界で初めてとなる7年間のハードウェア長期保証「ロングライフサポートサービス」が提供される。従来の5年間の保証期間では、開発に1年、検証に1年かける標準的なケースを想定すると、実運用では3年間の保証期間しか得られないことになる(しかも、後半2年は、次のシステムの開発と検証がかぶってしまう)。

 日立 情報・通信グループCSO 兼 経営戦略室長 北野昌弘氏は「一般的に売る側は、常にハードのリプレースに持って行きたいのが常。その中で保証期間を2年間延長すると決断したことは、ユーザーの視点に立った踏み込んだ提案だ」と話す。

 2年間延長されることで、ユーザーはシステムの十分な本番運用期間を確保できるとともに、保守サービス期限切れによる、システム停止・更改作業を低減できる。またハードウェア入れ替え時のコストを年平均最大5%削減(日立による試算)できるため、ライフサイクル全体でのTCO削減に寄与するという。

 今回発表された製品の仕様/価格は次のとおり。販売開始および出荷は4月1日を予定する。


製品 シャーシ仕様 ブレード仕様 価格
BS2000 サーバブレード最大8、PCI Expressボード最大16、LANスイッチモジュール最大6(標準LANスイッチモジュール最大2)、マネジメントモジュール最大2、外形寸法:W447×D820×H441(mm)、10U インテルXeonプロセッサ(Nehalem)最大2(最大8コア)、メモリ最大144ギガバイト、HDD最大588ギガバイト(2.5型×4)、サーバ仮想化機構「Virtage」標準搭載 279万3000円〜
BS320 サーバブレード最大10、LANスイッチモジュール最大2、FCスイッチモジュール最大2、マネジメントモジュール最大2、外形寸法:W440×D780×H262(mm)、6U インテルXeonプロセッサ(Nehalem)最大2(最大8コア)、メモリ最大48ギガバイト、HDD最大294ギガバイト(2.5型x2) 91万6965円〜

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