技術コンテスト「Imagine Cup」には、テクノロジーに対する思いとそれを形に変えるアイデア、そして世界で戦うという勇気があれば、万人が参加できる。いったん足を踏み入れた学生は、その後の自分を形成するさまざまな刺激を受けるだろう。
現地時間の7月6日、米Microsoftがエジプトで開催している全世界の学生を対象にした技術コンテスト「Imagine Cup 2009」が4日目を迎えた。同イベントの終了と各部門の結果発表を明日に控えた同日には、「Cultual Day」と呼ぶイベントが開始された。これは同イベントに参加する学生をエジプトのピラミッドやスフィンクスといった名地に観光案内するもの。慣れない地で発表に向け連日連夜の追い込みをかけてきた学生にとって、身も心も安まる1日になるだろう。
Imagine Cupは技術コンテストと冠しているだけに、技術力やソリューションの出来を競い合うといったことを想定しがちだ。だが、単に技術力をはかるだけにとどまらず、他国の学生とふれ合う機会を多数用意することで、学生の可能性を多面的に引き出そうとしている。渡航費や滞在費などの費用のほぼすべてをMicrosoftが負担するため、学生は金銭的な面で苦労することはない。
同イベントがこれまでに整備してきた学生へのチャンスとキャリアパス。そこを歩き、将来の成功をつかみとった学生もいる。南アフリカ代表として2008年にソフトウェアデザイン部門に出場したデビン・デ・ヴリース氏だ。彼は昨年、渋滞などが起こっている母国の公共交通手段を携帯端末で確認できるシステムを開発し、Imagine Cup 2008でその成果を披露した。
コンテストの結果はトップ12止まりだったももの、アイデアがスポンサーの目に留まった。その結果、Microsoftが提供する支援プログラム「Innovation Accelerator」を受賞した。このプログラムでは起業するためのトレーニングやオフィス環境、ソフトウェアの支援などが実施される。これらの機会を活用し、ヴリース氏は2008年9月に自らの会社の起業にこぎ着けた。
ヴリース氏は「Imagine Cupに出場したことで、起業するためのスタート地点に立てた。自分がやりたいと思ってきた仕事が毎日でき、喜びを感じている」と話す。マイクロソフト日本法人によると、過去にImagine Cupに出場した学生の進路の12%が「会社起業」を選んだという実績も生まれている。
Imagine Cupは誰でも参加できる。技術や自分に対する向上心、それを形にする少しのアイデアがあれば。また、ソフトウェアデザインや組み込み開発など専門的な技術を要するコンテストだけでなく、写真やショートフィルムなどのデザインを競う部門も用意されている。ITを活用する万人に向けた大会といえるだろう。
Imagine Cup 2009には日本から3チームが参加している。彼らは今回の出場で夢をたぐりよせるきっかけを得るとともに、来年以降も開催されるImagine Cupに日本の学生が参加するための道を作っている。イベントに参加したことで得られる経験やさまざまな出会いは、その後の人生を大きく変えることにつながるかもしれない。
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