Twitterは進化をやめないTwitter定点観測(3/3 ページ)

» 2009年08月22日 08時00分 公開
[小林啓倫,ITmedia]
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「Twitter議員」のつぶやきが停止

 本来ならばここで「Twitterにこんな使い方が登場した」という話を取り上げたいところだが、残念ながら日本では「こんな使い方はできなかった」という方がニュースになってしまっている。言うまでもなく、8月30日に行われる衆院議員選挙に関連した動きだ。

 第45回衆院選は8月18日に公示され、12日間にわたる選挙戦がスタートした。現在の公職選挙法の下では、選挙活動におけるインターネットの活用は許されないという解釈がなされており、公示期間中に候補者らがWebサイトを更新すると罪に問われる可能性がある。Twitterも同様で、選挙期間中の書き込みは認められないとの見解が総務省から出されている。Twitterを使う政治家――いわゆる「Twitter議員」たちは、8月18日を境にTwitter上での沈黙を余儀なくされた。彼らはTwitterの停止期間について、思い思いの言葉でつぶやきを残している。

 利用者にとっても、「Twitterと政治」はこの夏注目のトピックとなった。関連するセミナーが各地で開かれ、政治を語るコメント向けに用意された「#seiji」や「#senkyo」などのハッシュタグが定着した。また「ぽりったー(politter)」や「日本の政治家@24oclocks」「Follow選挙」に加え、ニコニコ動画内での対応など、Twitter議員のつぶやきや関連する一般利用者の発言を集めるサービスも登場している。つぶやきの中断によってそうした熱が覚めるとは考えにくいが、せっかくの選挙期間に当事者の発言が消えてしまうのは、総選挙においてマイナスでしかないだろう。

 海外ではネット選挙を認めている国が多く、政治家や政府機関によるTwitterの活用も急速に進んでいる。バラク・オバマ米大統領が選挙期間中にTwitterを利用したのはその代表例だ。

FCCの公式Twitter FCCの公式Twitter

 現地時間の8月18日には、米連邦通信委員会(FCC)の公式Twitterが開設された。また英国では地方議員のレベルでも200人近くがTwitterを利用しており、彼らのつぶやきをまとめて読める「TweetyHall」というポータルサービスもある。英国政府は公式のTwitterガイドラインを作成するほどで、積極的に情報を発信していく姿勢のようだ。

 わたしたちの代表を選ぶ大切な時期に、候補者の生の声がTwitterでは聞けなくなる――。そんな事態は今回が最後であってほしい。単に海外の真似をすればいいというわけではないが、インターネットを使った選挙全般を禁止している日本の公職選挙法は、インターネットによる選挙活動に取り込もうとする政治家のモチベーションを奪う一因になりかねない。

 幸いなことに、自民党・民主党の双方がネット選挙解禁に動く姿勢を見せている。少なくとも衆院選後には、多くの政治家たちが政治を身近にするつぶやきを再開する。新たなTwitter議員も誕生するに違いない。


 Twitterの進化は、運営側だけでなく、利用者の働き掛けによって支えられていることを感じていただけただろうか。Twitterを使っていて何かしらのアイデアがひらめいたら、ぜひ行動に移してほしい。それがTwitterの次なる進化を促す最初の一歩になるのだから。

著者プロフィール:小林啓倫(こばやしあきひと)

小林啓倫

日立コンサルティング シニアコンサルタント。1973年2月26日生まれ。東京都出身。筑波大学大学院(地域研究研究科)修了。国内のシステムインテグレーターでERPコンサルタントとしてキャリアを積んだ後、米マサチューセッツ州のBabson Collegeでアントレプレナーシップを学び、MBAを取得。外資系コンサルティング会社、ベンチャー企業を経て、2005年に日立コンサルティングに入社。「シロクマ日報」「POLAR BEAR BLOG」など、複数のブログを執筆するブロガーでもある。Twitterのアカウントは「@akihito」。URLは「http://twitter.com/akihito」


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