世界のトップブランド100社のTwitterの活用法を見ると、利用者や顧客とのきずなを深めるためには、「ゆるく、きめ細やかに」つぶやきを発信していくことが求められている。
企業がTwitterを使ってマーケティング活動をする場合、取り組むべきことは2つに集約される。それは「利用者に情報を伝えること」および「利用者と会話をすること」である。
本稿では、「世界のベストブランド100社」がTwitterをどのように使いこなし、利用者や顧客とのやりとりをしているかについて、企業や業種ごとに分析し、その実態をあぶり出す。
記事の詳細は著者が上梓した『Twitterマーケティング 消費者との絆が深まるつぶやきのルール』に掲載しています
Twitterには、性質の異なる2つのつぶやきがある。フォロワー全員にあてたつぶやきと、個人に伝えるつぶやきである。前者はアカウントのタイムラインに表示されるもので、後者はつぶやきの先頭に「@」と個人のアカウント名を付けてつぶやくものだ。
フォロワー全員あてのつぶやきは、自社のアカウントをフォローしている利用者全員にメッセージの内容が届く。電子メールで言うと、メーリングリストに当たるものだ。個人あてのつぶやきは特定の人との会話であり、誰でも閲覧できるオープンな空間で交わされる電子メールのやりとりのようなものだ。
これらのつぶやきは、企業のアカウントをフォローした利用者と対話をする手法としては同一だが、企業のマーケティング活動という視点で考えると、似て非なるものといえる。
つぶやきの性質が異なる点について、実例を基に考えてみたい。例えばヤフーが運営する日本最大級の商用アカウント「yahoo_shopping」のTwitter画面では、フォロワー全員にあてたメッセージと先頭に「@」を付けた個人アカウントへの返信が含まれている。前者はすべてのつぶやきにURLが付いており、リンク先のWebページに誘導するという意図が含まれている。後者はすべてのフォロワーがタイムラインを通じて閲覧できるのが特徴だ。Twitterはこのような形で利用者とのやりとりができる。
今回、この2つの種類のつぶやきが利用者にどれだけの影響を与えるかを数値化した。企業がTwitterを活用するに当たり、Twitterをメディアとして使うのか、それとも顧客とやりとりをするために使うのか――という2つの方向性がある。広報宣伝部門であれば情報がどれだけ広がるかを重視するし、顧客サポート部門であれば顧客にどれだけ対応できるかを大切にする。タイプの異なるつぶやきを数値化することで、それぞれの部門がTwitterを有効に使うための指標が得られると考えた。
すべてのフォロワーに対して同じのメッセージ(つぶやき)を届ける力を「メディア・パワー」と定義する。メディアパワーは、企業アカウントをフォローする人の数とすべてのフォロワーに向けたつぶやきの数を掛け合わせた数値で推し量る。
「メディア・パワー」=「フォロワー数」×「全フォロワー向けのつぶやきの数」
個別の利用者との交流を重視し、エンゲージメント(きずな)を強化する力を「エンゲージメント・パワー」と定義する。これはフォロワー数と個別の利用者向けに発信されたつぶやきの数をかけ算した数値で見る。
「エンゲージメント・パワー」=「フォロワー数」×「個別フォロワー向けのつぶやきの数」
母数にすべてのフォロワーを含めるのは、「@」を付けた個別のやりとりもタイムライン上に表示されるため、企業が考える「ユーザーとの対話に対する姿勢」をアピールすることが可能だからだ。
yahoo_shoppingは、企業アカウントの中でも、Twitterによる情報発信の数でひときわ目立っている。試しに10月16日の活用状況を調べると、1日で53のつぶやきがあった。内訳は、すべてのフォロワーに向けたつぶやきの数が31、個別の利用者にあてたつぶやきが22だった。ここで各つぶやきの影響力を数値化すると、以下になった。
(a)メディア・パワー = 13万411人 × 31Tweet(つぶやき)/日 = 404万2741
(b)エンゲージメント・パワー =13万411人 × 22Tweet/日 = 286万9042
(フォロワー数は10月16日のものを使って算出した)
実際には「つぶやきの質」も重要だが、ここでは単純化した「つぶやきの量」に焦点を当てている
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