MySQLをめぐる疑問に答えるOracle――コミュニティーは納得するか?

OracleはMySQLカンファレンスで、このオープンソースデータベースに関する今後のロードマップについて説明する予定だ。

» 2010年04月12日 14時57分 公開
[Brian Prince,eWEEK]
eWEEK

 米Oracleの幹部らは、MySQLのロードマップに関して幾つかの質問に答える必要があると感じており、近く開催されるO'Reilly MySQL Conference & Expoでこれらの質問に答えるつもりのようだ。

 カリフォルニア州サンタクララで4月12〜15日(現地時間)にわたって開催される同カンファレンスにおいて、Oracleのチーフコーポレートアーキテクトのエドワード・スクリーベン氏は同社の計画を明らかにするとともに、オープンソースが異種混在環境で果たしている役割について説明する予定だ。Oracleが今年1月にSun Microsystemsを買収する前後から、Oracleの狙いは何か、そしてこの買収がユーザーにどんな影響を与えるのかをめぐって憶測が絶えなかった。

 Oracleによると、スクリーベン氏は4月13日のキーノートスピーチの中でこの2つの話題に触れるようだ。

 「MySQLはOracleにとって戦略的な意味があり、MySQL製品のさらなる開発、推進、サポートに向けて努力するつもりだ」とスクリーベン氏は発表資料で述べている。「MySQLに関するわれわれの計画を説明し、現時点および将来の機能強化の内容を開発コミュニティーに示すのを楽しみにしている」

 ユーザーコミュニティーの最大の関心事は、Oracleが従来のOracle Databaseを優先してMySQLの開発を縮小するのではないか、また同社がMySQLのルーツであるオープンソースの精神を尊重するのだろうかという不安だ。

 「MySQLの共同創業者であるモンティ・ウィデニウス氏が、Sun買収による悪影響を訴えた恐怖キャンペーンでOracleに戦争を仕掛けたため、コミュニティーはモンティが恐れていることをOracleがやるのかどうか注視している」――リモートデータベースサービスプロバイダーPythianのポール・バリー執行役会長は米eWEEKへの電子メールでこのように述べている。「一方、起業家たちはOracleの防御の弱点を探し出して、それを起業に利用しようとするだろう」

 Sunの買収が欧州委員会の認可待ちの状態だった2009年、Oracleはユーザーの懸念に対処するために10の約束を発表した。その中には、MySQLへの研究開発投資を増やし、今後も同データベースをGPL(General Public License)の下で提供するという約束も含まれていた。

 米市場調査会社The 451 Groupのアナリスト、マット・アスレット氏によると、ライセンスをめぐる議論が一段落した今、MySQLユーザーは製品そのものをめぐる重要問題(価格、ストレージエンジンのInnoDBとFalconの開発計画など)に集中できるようになったという。

 米調査会社Forrester Researchのアナリスト、ノエル・ユーハンナ氏は、eWEEKの取材に対して「Oracleは自社のアプリケーションとミドルウェアでのMySQLのサポートをめぐる疑問にも答えるとともに、今後の開発方針を明らかにする必要がある。OracleはMySQLのロードマップをまだきちんと示しておらず、多くの企業がMySQLを使い続けるべきか、それともPostgreSQL、Ingres、MonetDBなどの代替製品に移行すべきか決めかねている」と語っている。

 「PostgreSQLやIngresを真剣に検討し始めたFortune 500企業から、既に10件余りの問い合わせが来ている」とユーハンナ氏は話す。「多くの企業にとって、今回のMySQLカンファレンスは自社のDBMS(データベース管理システム)戦略を構築する上で焦点になるだろう。Oracleはこのカンファレンスで同社の戦略をきちんと説明する必要がある。そうでないと、今後数年の間にMySQL離れが一気に進む恐れがある」

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