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» 2011年07月14日 20時05分 UPDATE

震災後の企業ITのあり方とは:「サステナブルな経営を支えるIT部門になれ」――ITR・内山社長

東日本大震災で多くの企業がIT予算の見直しを図ったものの、事業の拡大に向けてやるべきことはやり続けることが肝要だという。

[伏見学,ITmedia]

 日本IBMは7月14日、BPM(ビジネスプロセスマネジメント)やSOA(サービス指向アーキテクチャ)に関連するソフトウェア製品の最新動向などを紹介するイベント「Impact 2011」を都内で開催した。基調講演にはアイ・ティ・アール(ITR)の内山悟志社長が登壇し、東日本大震災以降の企業のIT投資動向について解説した。内山氏は「新たな緊急課題が出てきたものの、企業が取り組むべきことは変わらない」と強調した。

ITRの内山悟志社長 ITRの内山悟志社長

 ITRは2001年から毎年、ユーザー企業のIT部門を対象に「IT投資動向調査」を行っている。2010年10月に実施した最新調査では、2011年度は前年以上にIT予算の増額を見込む企業が増えるという傾向が見られた。投資分野としては、特に「IT基盤の統合・再構築」と「仮想化技術の導入」が挙がっており、重視するIT戦略テーマについては、「売り上げ増大への直接的な貢献」「業務コストの削減」「ITコストの削減」が上位3つに選ばれていた。内山氏は「多くの企業において、IT構造改革とビジネスへの直接的な貢献に対する取り組みが進められていた」と調査結果を振り返る。

 ところが、2011年3月11日に発生した東日本大震災によってビジネス状況は一変。IT投資計画の見直しを余儀なくされた企業も少なくない。ITRと日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が2011年5月20日から25日にかけて実施した調査によると、震災によって3割以上の企業が2011年度のIT予算を見直す予定、あるいは既に見直しを終えたという。

 具体的な内容について、全社的な経営計画や個別の事業計画を見直し・再検討する、あるいは実施予定とする割合が多かった一方で、既に計画されていたITプロジェクトを中止あるいは一時停止するという割合は少なかった。ここから内山氏は「たとえ震災の影響を受けたとしても、企業として(事業拡大のために)やるべきことは着実に進めていく姿勢がうかがえる」と分析する。つまり、これまで多くの企業が取り組むべきだと考えていたIT構造改革、ビジネスへの直接的な貢献に対する重要性は変わらないというわけだ。

災害対策という新たな要件も

 また、今回の震災をきっかけに噴出した新たな課題がある。それが災害への備えだ。内山氏は、ビジネスプロセス改革、ワークスタイル改革、IT構造改革の3つを例に説明した。

 ビジネスプロセスに関しては、これまでビジネスプロセスの見える化、業務横断的な合理化および最適化が課題だった。ところが、震災によってサプライチェーンが寸断し、自動車をはじめとする製造業を中心に、工場から部材が調達できず生産体制に深刻なダメージを与えたという事態が生じた。これを受けて、ビジネスプロセス改革を検討する上では、調達・生産・物流計画の変更や代替手段への切り替えを迅速に実施できる仕組みの構築が新たな要件として加わったという。

 ワークスタイル改革については、従業員が自律的かつ機動的に活動できるコミュニケーションおよびコラボレーションの実現が従前からの課題だったが、加えて、停電や交通情勢悪化の状況でも通信や業務が行える環境の実現が求められている。IT構造改革においては、データセンターの被災や停電に対して予防、復旧、代替手段への切り替えが新たな要件になるという。

 これらに共通するキーワードが「サステナブル(持続可能な)」だ。健全な経営を行うことで価値を生み出し、事業を継続していくサステナブルな企業が昨今注目を集めている。「震災を経て、サステナブルな経営が今まで以上に強調されている」と内山氏は話す。また、サステナブルな経営を実現するためには、それを支える企業ITもサステナブルでなくてはならないという。

「IT部門はより前のめりになってサステナブルなITに取り組み、企業ビジネスに直接貢献できる部門になるべきだ」(内山氏)

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