パートナーの豊かな業界知識が顧客企業に競争力をもたらすIBM PartnerWorld Leadership Conference 2012 Report(2/2 ページ)

» 2012年02月29日 14時45分 公開
[浅井英二,ITmedia]
前のページへ 1|2       

 「テネシー州のメンフィス市警はSmarter Planetの取り組みによって、縦割り組織の弊害克服という予想外の成果を上げた」とイワタ氏。同市警は、ニューヨーク市警の事例に学び、彼らが導入した情報共有のソリューションを採用した。主な狙いは犯罪を減らすことにあったが、管轄ごとの縄張り意識が解消され、文化も大きく変わりつつあるという。

 「Smarter Planetはビジネスを変革するだけでなく、人の職務も変えようとしている。世界のCMOに聞いたところ、その大半は企業が直面する、データの爆発、ソーシャルメディアの浸透、新たなデバイスの登場などに準備ができていない。ビジネススクールでこれらの技術を学んでいないからだ。そして何よりもそれらを使いこなす顧客の気持ちを理解できないと懸念している」(イワタ氏)

 彼らは新たな知識やスキルを求めている。それに応えられるのは、業界の豊かな知識があり、顧客のニーズにも精通しているビジネスパートナーだ。

ハードウェア+ソフトウェアの販売に報奨金

ソフトウェアとシステムを統括するミルズ上級副社長

 この日、IBMは業界ソリューションの迅速配備をさらに加速するパートナー向けの報奨金プログラムを発表した。「IBM Solution Accelerator Incentive」と呼ばれるもので、IBMのハードウェアとソフトウェアを一緒に販売してもらうのが狙いだ。ハードウェアには5%、ソフトウェアには15%を報奨金として戻すほか、洞察を得たり、ソーシャルを活用するためのソリューションを販売した場合にはさらに10%の報奨金が上乗せされるという。

 午前のジェネラルセッションでこれらの報奨金プログラムを披露した、ソフトウェアとシステムを統括するスティーブ・ミルズ上級副社長は、「ハードウェアとソフトウェアを組み合わせ、さらにパートナーがその精通した知識によって価値を高めて顧客に提供してもらうのが狙いだ」と話す。

 パートナー事業担当のヘネシーGMも「先端技術をいかにシンプルにビジネスに適用できるかが多くの企業の課題。報奨金プログラムはそうした顧客のニーズに応えるものだ。IBMのハードウェアとソフトウェアの組み合わせであれば、インテグレーションの手間がなく、短期間でビジネス上の成果を期待できる」と話す。

 さらにIBMはこの日、「ハードウェアとソフトウェア、そして専門知識を統合した、一貫性のある業界初のファミリー製品」(システム&テクノロジー担当のロッド・アトキンス上級副社長)を4月11日に東京を含む世界の数カ所で発表するとし、先端技術適用の一層の簡素化を約束している。

 IBMと先進的な海外のパートナーらが新しい世界に足を踏み入れようとしている中、われわれも日本の企業を身近でサポートしているパートナーらに変革を期待したい。多くの顧客企業にとっては業界や個々の企業の事情まで深く理解してくれているパートナーらにIT活用の成否はかかっている。そして、業界の深い知識こそがパートナーを差別化する源泉だからだ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ