ニュース
» 2013年04月17日 08時00分 UPDATE

情シスの横顔:業務部門はお客様であり、パートナーである 東急不動産・石橋さん

東急不動産で社内ITシステムの企画などを担当する石橋さんは、日々プロジェクト管理の難しさを痛感ながらも、一つ一つの課題に対して丁寧かつ着実に取り組んでいる。

[伏見学,ITmedia]

グループ各社のヘルプデスク対応も

 東急リバブルや東急ハンズをはじめとする連結子会社93社、社員数約1万6000人(2012年3月末時点)から成る東急不動産グループは、東京・渋谷を中心に幅広い事業を展開している。その中核となる会社が東急不動産だ。

東急不動産 財務統括部 IT推進部 IT企画・開発グループの石橋将義さん 東急不動産 財務統括部 IT推進部 IT企画・開発グループの石橋将義さん

 石橋将義さんは2008年6月、東急不動産に中途で入社した。現在は、財務統括部 IT推進部のIT企画・開発グループにおいて、社内システムの企画や開発、保守に携わっている。

 情報システム部門に当たるこのIT推進部は、大きくIT企画・開発グループと、ITサービスグループに分かれており、後者は社内のネットワークやインフラストラクチャを管理する。スタッフはIT推進部全体で約20人の体制である。

 東急不動産は現在、グループ各社との連携を強めており、情報システムに関しても、業務やコストの効率化を図るために一部の機能を共同運用している。この4月からはヘルプデスク機能を強化して、グループ各社をサポートする「ITサポートセンター」をITサービスグループに設ける。この背景として、グループの中で小規模な会社だとIT担当者が1人しかおらず、終日社員のPCのサポートに追われてしまっているという現状があるからだ。そこで「機能を集約し、日常のITトラブルに対応するコールセンターも一元化することで、IT担当者が本来の業務に専念し、より創造的な仕事ができればという狙いがあります」と石橋さんは話す。

ユーザー企業の情シス部門の役目とは

 石橋さんは東急不動産が3社目。前職はシステム開発会社で約10年間、SE/PG(システムエンジニア/プログラマー)として働き、その前は大手ファミリーレストランチェーンに勤めていた。

 学生時代はもっぱらの文系で、新卒入社したファミリーレストランチェーンでもITにかかわる仕事ではなかったため、「最初はPCの立ち上げ方すら知らない状況でシステム会社に入り、本当に一からITのことを勉強しました」と石橋さんは振り返る。

 東急不動産に入社後、石橋さんはこれまでにシステムの新規開発プロジェクトを4件ほど担当してきた。主にプロジェクトマネジャー(PM)の役割で、エンドユーザーと外部の開発ベンダーとの橋渡しをしたり、プロジェクトの進ちょく管理や課題管理を行っている。また、稼働中のシステムについては、その運用、保守をIT推進部が担っているので、「SE/PGとPMを掛け持ちしている状況」(石橋さん)だという。

 前職でもプロジェクトの経験はあったものの、あくまでシステム開発するSEの立場でかかわっていた。「ユーザー企業の情報システム部門だと、社内の意見調整を行ったり、業務部門のビジネス改革まで考えたりと、プロジェクト全体を管理する必要があります」と石橋さんは説明する。そこにスキルのギャップを感じており、どう埋めていくかを課題として挙げる。そのためのスキルアップとして、石橋さんは「日常業務の中で学んでいくことに加えて、IT専門雑誌やインターネット媒体でPM関連の特集記事を読むなどして情報収集に努めています」と述べる。

ユーザー視点を持った対話を

 そうした中、石橋さんが現在PMとして携わっているプロジェクトが、商業施設とオフィスビルで利用する業務管理システムの再構築である。主に社内の3つの事業本部とグループ会社の関係部署がかかわる大型プロジェクトだ。加えて、今回のシステム構築は、これまで同社に多かった手組みのスクラッチ開発ではなく、既存パッケージソフトをカスタマイズするという社内でも初めての取り組みであるほか、2つの業務管理システムを統合して、その上に会計システムの機能を盛り込むという、単純なシステムの再構築ではないということから、よりいっそうPMの手腕が期待されているのである。

 同プロジェクトは2011年5月に開始。まずは社内で要件を洗い出し、システム再構築で必要な視点を固めた。2012年1月から3月にかけて開発ベンダーを選定し、5月に要件定義を行った。その後、10月から2013年3月末までシステムの基本設計を進め、4月からはカスタマイズの開発とテストを行っている。新システムの本番稼働は今年12月を予定する。

 プロジェクトを進行する上で、どのようなことに苦労しているのか。石橋さんによると、プロジェクトにかかわる関係者が多岐にわたるため、限られた時間の中でいかにミーティングのスケジュールを組み、彼らの要求を吸い上げていくかという点に難しさを感じているという。

 「要件定義の段階から、できるだけ関係者と全体ミーティングや個別打ち合わせの場を設けることで、意見や要求を掘り下げていきました」(石橋さん)

 また、エンドユーザーの詳細な業務フローを確認するために、オフィスビルや商業施設の現場に訪れ、運用担当者にヒアリングするなど、プロジェクトメンバー以外の要求も集めた。

 こうした業務部門とのコミュニケーションを不得意とする情報システム担当者は少なくない。業務を把握するためのエンドユーザーに対するヒアリングに際して、石橋さんはどのような工夫をしているのか。

 「ヒアリング内容に関して、アジェンダやレジュメを用意し、メンバーには事前に配布します。その場でいきなりヒアリングしても話はまとまらないことが多いため、事前に聞きたいことを明確にしておきます。また、なるべくIT専門用語は使わず、業務部門の方々が分かりやすいようにヒアリングしたり、伝えたりするようにしています」(石橋さん)

 こうした行動の裏にあるのは、「業務部門=お客様」という意識である。同じ社内であっても、システムを利用する業務部門は顧客であるととらえ、常にユーザー視点を持って対話することが肝要だとしている。そのため、例えば、ネットワークが停止するなど情報システムに予期せぬトラブルが起きたときは、エンドユーザーに迷惑をかけないことを第一に考えて対処に当たるのだという。

 ただし、プロジェクトにおいて重要なのは、単に業務部門を顧客扱いするのではなく、共により良いシステムを作り上げるためのパートナーであるという考えなのだという。「システム開発というと、どうしても情報システム部門にお任せとなりがちですが、業務部門が一緒に考えてもらえるような環境作りが大切です。そのためには、情報共有を早く、的確にすることを心掛けています」と石橋さんは意気込む。

PMとしてさらなるスキルアップを図る

 石橋さんが東急不動産に入社して間もなく5年が経とうとしている。仕事の悩みはあるのか。1つに、業務範囲が広いため、いかに短時間で中身の濃い仕事をこなしていくかが問題意識としてあるのだという。また、プロジェクトのサポートメンバーをはじめとする部下の育成に関しても今後の課題である。

 この先のキャリア形成については、企業の情報システム全体を総括できるスキルを身に付けたいとする。「歳を重ねるにつれ、どうしてもSEだけだと仕事の幅が広がりません。幸いなことに、ちょうど今、PMとして仕事する環境を用意されていますので、業務を通じてスキルアップを図り、次のステージにキャリアを移していきたいです」と石橋さんは力を込めた。

「企業ITはどうしても一人に業務が偏りがち。めげずにそれを乗り越え、先のステージを見据えてまい進していきたい」 「企業ITはどうしても一人に業務が偏りがち。めげずにそれを乗り越え、先のステージを見据えてまい進していきたい」

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

Loading

ピックアップコンテンツ

- PR -

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -