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» 2013年10月25日 07時45分 UPDATE

NTT Communications Forum 2013 Report:キャリアクラウド、ユーザー企業が注視すべきポイントはどこか?

企業の本格利用が広がるクラウドサービスだが、提供事業者も多数に上る。ガートナーバイスプレジデントの田崎氏は、この中で通信事業者が提供するクラウドサービスに触れ、ユーザー企業が注目すべき点を解説した。

[國谷武史,ITmedia]
ncom0103.jpg ガートナー ジャパン リサーチ部門バイスプレジデント 田崎竪志氏

 NTTコミュニケーションズによる年次カンファレンス「NTT Communications Forum 2013」が、10月24日から2日間の日程で開催されている。初日の特別講演ではガートナー ジャパンのリサーチ部門バイスプレジデントを務める田崎竪志氏が、「キャリアのクラウド・サービス:企業が見落としてはいけないプロバイダーの特性」と題し、通信事業者(キャリア)が提供するクラウドサービスについて解説した。

 企業のクラウドサービスが本格化しつつある今、田崎氏によればクラウドサービスを提供する事業者は国内だけで60社以上にもなり、ユーザー企業側ではパートナーの選定に悩むケースが増えている。これまではAmazon Web Service(AWS)のような新興企業が注目を集めてきたが、同氏はキャリアが提供するサービスも検討に加える時期に来たと話す。

 ユーザー企業はサービス事業者(プレーヤー)を見極めるポイントの1つが、プレーヤーの特性を理解し、その特徴を見極めることだという。それはプレーヤーのこれまでの事業領域や着目する市場から探ることができ、大きく(1)AWSやGoogleのようなクラウドネイティブ企業、(2)総合IT企業などのテクノロジープロバイダー、(3)データセンター事業者、(4)キャリア――に分類できるという。

 それぞれの特性と戦略をみると、(1)は規模の経済と先行者利益、先進技術を追求するものの、まだ一般向けにはそれほど普及していない、(2)は顧客基盤に厚みがあるものの、既存ビジネスとの整合性を模索している、(3)は施設を他のプレーヤーへ提供することに注力している、(4)は広域ネットワークや財政基盤、人材を強みとしつつもネットワーク以外の技術では不透明――といった点が挙げられる。

 こうした中で田崎氏がキャリアクラウドを注目する理由は、キャリアの取り組みとクラウド本来の特性との親和性が高い点にある。具体的には、クラウドサービスは標準化されたサービスを従量課金で提供し、通信サービスもビジネスモデルの点で類似していること、また、先行投資による自社設備としてサービス提供基盤を保有していることで、ユーザーが早い段階からメリットを享受できること、さらにはキャリアにとってクラウドが新たな事業領域となり、しがらみの無いビジネスを展開できる優位性(他のプレーヤーにとっては破壊的である)を持つからだとしている。

 一方で、キャリアクラウドには懸念も付きまとう。特にITインフラやアプリケーションに関しての実力は未知数であり、クラウド自体がまだ発展途上にあることも考慮すると、過度な期待はかえって危険性を伴う。「過度に期待せず、過小評価もすべきではない、注意深く、継続的に実行する力を見極めていくべきだ」という。

 特に差別化のポイントとして注目されるのは、「ネットワーク」「データセンター」「ホスティング」「IaaS」「マネージドサービス」のカテゴリーになる。ネットワークでは通信事業者が回線を保有する点からコストメリットが期待されるものの、既存環境から変更する場合はそのためのコストが発生する。データセンター・ホスティング・IaaSでは例えば、WANやオンプレミスなどとの複合環境をどのくらいカバーしているのか、セルフサービスポータルを提供しているか、それらがどのくらい“標準”となっているかが利用後を左右する。

 マネージドサービスは、単に顧客企業の運用業務を受託するということでは無く、サービスがITILのような標準に基づいてコンポーネントになっており、その組み合わせで課金される仕組みであることが重要になる。従来のように顧客企業に応じてカスタマイズされるサービスでは、クラウドのメリットを得られない。

 また、キャリアクラウドの中にも違いはあるといい、田崎氏はNTTコミュニケーションズとKDDI、インターネットイニシアティブ(IIJ)を例に、その違いを説明した。

 同氏によれば、NTTコミュニケーションズは資金力や技術力に集中してグローバル展開に取り組むが、NTTグループ内部での調整が課題になる。KDDIは統合サービスに強みがあるものの、サービスのポートフォリアや地域間での一貫性に欠如がみられるという。IIJは非常に高い技術力を有するが、業務システムのユーザー部門の獲得に注力するあまりに、クラウドの全体像がみえにくいとしている。なお、こうした違いは各事業者の方向性や注力分野によって生じるもので、能力の違いということではない。

 田崎氏は、現時点で市場におけるキャリアクラウドの立場は変化しやすい状況にあると指摘する。そのためユーザー企業には、(1)IaaSの検討ではキャリアクラウドも候補に加える、(2)プレーヤーの特性を理解し、クラウド市場との親和性や従来環境からの移行に向けた戦略などを把握、評価する、(3)各プレーヤーのビジョンとサービスや技術への投資姿勢を評価基準に加える――という3点をアドバイスしている。

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