大林組がスパコン更新、大規模災害に強い設計に活用

設計に必要なシミュレーションの高精度化や迅速化を図る。

» 2015年05月28日 11時30分 公開
[ITmedia]
大林組が導入した「SX-ACE」(出典NEC)

 大林組は5月28日、技術研究所のスーパーコンピュータシステムを更新したことを発表した。広域地震や異常気象などの災害に強い施設の設計などに役立てる。

 同社ではNEC製のベクトル型スーパーコンピュータ「SX-8R」を利用しており、これを最新型の「SX-ACE」によるシステム(32ノード、最大性能8.21テラフロップス)に更改した。従来はSX-8Rと外部のスーパーコンピュータを利用して設計に必要なシミュレーションを行っていたものの、時期によって外部サービスの利用が難しいといった課題を抱えていた。

 新システムへの更改によって広域地震動の評価や風荷重評価などのシミュレーションの多くを社内で実施できるようになる。広域地震動評価では大規模被害が想定される南海トラフ地震などでの長周期地震動が建物に与える影響を評価するが、従来は対応し切れなかった解析を全て自社で行い、既存建物の健全性評価や耐震補強工事の提案を迅速化できるとしている。

南海トラフ地震発生時の地震動予測(左)。高層集合住宅に作用する風力の評価(右)

 風荷重評価では従来に風洞模型を用いていた全周囲からの風向計算などの実験を、自社開発した「数値風洞 エアロダイナ」によるスーパーコンピュータのシミュレーションで実施する。従来はシミュレーションだけで数カ月を要したが、新システムによって約2週間に短縮されるほか、中小規模の建物のシミュレーション精度も向上されるという。

 最新モデルは消費電力が従来比で10分の1、設置面積が同5分の1に縮小されており、環境に配慮したシステムになっている。

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