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» 2015年06月22日 08時00分 UPDATE

ライオンとリコーが伝授、ビジネスを変えるデータ基盤の作り方 (1/4)

データのビジネスへの活用が叫ばれて久しいが、効果をあげられている企業はまだまだ少ないのが現状だ。ITmedia エンタープライズ編集部が主催する「データマネジメントセミナー」では、ライオンとリコーの企業事例や最新のソリューションが紹介された。

[ITmediaエンタープライズ編集部,ITmedia]

 もはやデータは業務の副産物ではなく、ビジネスを進化させる主役となりつつある。多くの企業が自社が持つデータの活用を具体的に考えるフェーズに入ったが、いざデータを分析しようとしても、思うような結果が出なかったり、コストの問題で断念するなど、高い“カベ”があることも多い。

 そこで、ITmedia エンタープライズ編集部は、2015年6月2日にデータマネジメントをテーマにしたセミナー「社内に点在しているデータをどう生かす? データ分析の“心臓部”、データベース基盤を今こそ見直す」を開催。先進的なユーザー企業として、ライオンとリコーの取り組み、そして、企業のデータ活用を支えるソリューションが紹介された。

月に1000万件の販売データを管理、データ連携基盤づくりの勘所

photo ライオン 統合システム部 副主任部員 濟田信氏。セミナーの事例講演で同社のデータ活用の取り組みを説明した

 洗剤、ハミガキなどトイレタリー用品を中心に、医薬品、機能性食品などを展開するライオンは、2012年からメインフレームの撤廃を含めた基幹システムの刷新を行っている。IT基盤の刷新とともに、同社が進めたのは、社内に散在しているデータの統合だったという。

 ライオンの基幹システムの歴史は、1980年代にまでさかのぼる。1891年に小林富次郎商店として事業を始めた同社は、ライオン油脂とライオン歯磨の2社に分社。その後、1980年にライオンとして合併した際に、販売管理システムなどを中心にシステムを構築した。

 その後、1990年代にはマーケティング支援や新商品供給システムを追加し、2000年代には人事、会計などのバックオフィス系のシステムをERPパッケージで再構築。従来の中核部分を残しつつ、新たなシステムを追加していった結果、システム全体の複雑化と老朽化が進んでいったという。

 「システムの運用コストが増加したほか、販売やマーケティング部門で複合的なデータ利用が困難であったり、業務プロセスの変化や組織変更にスピーディーに対応できないなど、現場の希望に応えられない場面が増えてきたのです」(濟田氏)

 社内システムを管理する統合システム部では、こうした問題を解決するために、30年来稼働してきたメインフレーム廃止を核に、IT基盤を刷新することに決めた。システム間連携と標準化、統合DBの導入、既存資産の移行など、構想から約7年を要する大プロジェクトの結果、開発・保守工数の削減や、監視機能の強化といった効果が表れた。

 特にDB統合のメリットはめざましく、データの容量が半分以下になったほか、処理速度が2〜20倍になった。保守費や仮想マシン費用も削減でき、「維持費が60%下がった」(濟田氏)など、大幅なコストカットにも成功したという。

photo ライオンのシステム連携基盤

 システム刷新の後、さらに統合DBを利用したBIツールの開発にも着手した。同社では月に1000万件以上に及ぶ販売データを中心としたマーケティングデータをCUI画面で表示していた。こうしたデータ管理や分析作業をBIへと移行したのだ。

 移行の結果、画面数が約5分の1になるなどシステムがシンプルになったほか、検索結果のデータ出力に標準で対応し(今までは他のツールを使う必要があった)、検索条件を登録しておく機能を実装するなどユーザーの利便性も高まった。さらに、新たなツールを開発するときも、画面プロトタイプの提供ができるようになり、業務部門とIT部門がより一層協力して開発できるようになったという。

photo 統合DBとBIツールを利用したマーケティングシステムを新たに構築した

 このように、システム刷新を機にさまざまな施策を行った統合システム部だが、課題はまだ残っているという。

 「特にデータ分析については、個別最適が進んだため、真にユーザーが使いやすいツールになっているかという点で改善の余地がまだまだあります。また、われわれは長らく表形式の帳票データに慣れきっていたこともあり、外部統計データの活用や、ヒートマップのようにビジュアライズされた表示方法など、分析に対するセンスも磨かなければなりません」(濟田氏)

 「情報システム部門の使命は、情報の可視化を推進し、業務改善や事業成長に貢献すること、ひいては経営品質を向上させることにあります」と語る濟田氏。費用対効果や事業創出の観点も勘案しつつ、さらなるデータ統合に向けて、現在も検証と議論を重ねているという。

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