“2カ月で百万円規模”の出張費削減も コニカミノルタの“一石二鳥”なIT投資(1/2 ページ)

社内のコミュニケーションロスが仕事に影響している――。改善に乗り出したコニカミノルタビジネスソリューションズが導入したソリューションは、社内外の交流をスムーズにしただけでなく、百万単位のコスト削減にもつながった。

» 2015年06月25日 07時00分 公開
[後藤祥子ITmedia]
Photo コニカミノルタビジネスソリューションズ ソリューション事業本部 ソリューションマーケティング部の部長を務める藍隆幸氏

 「急な案件で打ち合わせをしたいのに、相手がつかまらない」「仕事の進ちょく確認をしに席まで行ったら不在だった」「支店の担当者と急ぎの会議をしなければならないのに、出張のめどがたたない」――。社内コミュニケーションがうまくいかずに、業務に遅れが出たことはないだろうか。素早い意思決定が求められる時代には、こうした小さなコミュニケーションのすれ違いが企業の業績を左右する問題に発展しかねない。

 コニカミノルタビジネスソリューションズも、そんな課題を抱えていた1社だ。オフィスは11フロアに分かれており、他部門のスタッフと打ち合わせをする際には、エレベーターや階段を使わなければならない。いざ、移動してみたら相手が外出していたり、席を外していたということもしばしばで、出直すのが面倒だからメールで要件を伝えたところ正確な意図が伝わらず、仕事の質が下がったり、納期が遅れたりといった事態が起こっていた――ソリューション事業本部 ソリューションマーケティング部の部長を務める藍隆幸氏は、社屋の移転前の状況をこう振り返る。

 全国各地の拠点やグループ会社とのコミュニケーションにも課題があったという。合同プロジェクトが多く、各地のスタッフとのやりとりが頻繁に発生する同社では、出張して打ち合わせするだけでなく、Web会議システムを使った打ち合わせも行っていた。しかし、使い方が分からなかったり、回線の具合によって音声や映像が途中で途切れたりすることも多く、Web会議が日々の業務の中に定着するには至らなかった。

 こうしたコミュニケーションロスを解消する方法はないものか――。同社が解決策を検討し始めたときに持ち上がったのが、社屋の移転計画だった。「移転を機に、“部門を越えて、自由闊達なコミュニケーションを図れる環境づくり”を目指すことになったのです」(藍氏)

用途に合わせてWeb会議とビデオ会議を使い分け

 場所にとらわれず、ストレスを感じることなくコミュニケーションするためには何が必要なのか。移転を機に発足した働き方変革プロジェクトには、さまざまなアイデアが寄せられた。「内線・外線ともスマホでとれるようにして取り次ぎの手間をなくそう」「オフィスをフリーアドレスにして、無線LAN経由で社内のどこにいてもコミュニケーションできるようにしよう」「いつでも所在の確認や連絡の可否が分かるようにしよう」「取引先で打ち合わせをする際に、社内の識者がオンラインで参加できるようにしよう」――といった具合だ。

 さまざまな議論の結果、コミュニケーション不全の改善策として導入が決まったのがビデオ会議システムだった。同社はすでに社内外のコミュニケーション用途で「Microsoft Lync」(現Skype for Business)、営業用途でシスコシステムズの「WebEx」という2種類のWeb会議システムを導入しており、ここにビデオ会議システムを追加することでコミュニケーションロスを減らそうと考えたのだ。軽い急ぎの打ち合わせはWeb会議システム、じっくり話す会議はビデオ会議システムで――といったように、用途に合わせて使い分ける。

 「Web会議システムは画面が小さいので、“電話で話してもらちが明かないから、ちょっと資料を見ながら話そう”といったような軽い打ち合わせには向いているのですが、離れた拠点のスタッフも交えて長時間、じっくり意見を交わすような会議には物足りない場合もあります。また、営業会議のように、各地の部門長が営業の進ちょくを話すような場では、ちょっとした表情の変化も重要になります。本当は厳しい状況なのに無理して大丈夫といっているのか、万事OKなのか――といった微妙な表情の違いを知りたいときには画面が大きくて解像度が高く、会話の遅延が少ないビデオ会議システムのほうが向いているのです」(藍氏)

Photo ビデオ会議システムの様子。離れた拠点のスタッフとも、同じ会議室にいるような感覚で打ち合わせができるという
Photo 資料を見ながらの打ち合わせもできる

選択の決め手は「社内連携のしやすさ」と「使いやすさ」

 ビデオ会議システムを選ぶ際、コニカミノルタビジネスソリューションズが重視したポイントの1つは、社内システムとの連携のしやすさだ。「社内の通話システムや、ほかの予約システムなどとの連携がしやすいかどうかがポイントになりました」(藍氏)

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