ピンチにうろたえない“柔軟な心”がプロマネの基本プロマネ1年生の教科書(2/2 ページ)

» 2015年09月03日 08時00分 公開
[岩淺こまきITmedia]
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逆境や失敗で折れず、変化に強い心とは?

 レジリエンスとは「逆境や困難、強いストレスに直面したときに、適応する精神力と心理的プロセス」(全米心理学会の定義)。端的に言うと、以下のような特徴を持つ“しなやかで折れない心”です。

  • 逆境やストレスに耐える、打たれ強さ
  • 失敗してもすぐに立ち直る回復力
  • 変化への合理的な対応力

 例えば、どんな逆境に陥ろうと「マジかおもしれーな。まぁそういうこともあるな。それじゃ、どうするか考えようぜ」(上司の口ぐせです)と切り替える人。こういう対応ができれば何が起きても平静を保てるでしょう。この混沌とした社会では、プロマネだけではなく全てのビジネスパーソンが持っておいて損はありません。

photo 逆境や失敗から立ち直る力を「レジリエンス」といいます

 レジリエンスを育てる方法はさまざまなものがあります。大きく2つの方向性に分かれますが、自分に合った方法を探すのがよいでしょう。

  • 頭の中でできること(無駄な思い込みの対処、アンガーマネジメントなど)
  • 頭の外でできること(マインドフルネス呼吸法、運動など)

レジリエンスに必要な「思考の柔軟性」

 中でも知っておくとよいのは、物事の捉え方を柔軟にする方法です。心理学者イローナ・ボニウェル博士はレジリエンスに必要なのは“思考の柔軟性”――厳しい状況でもポジティブな面を見いだせる人が、逆境を乗り越えられると言っています(参考ページ)。

 何かトラブルが起こったときに“できること”と“できないこと”を分け、できることにフォーカスし「こういう方法ならいけるかも」と考えるわけです。できないことを諦めはしますが、“どうせ自分にはできない、できる状況じゃない……”などと後ろ向きに捉えるのではなく、“できないのはしょうがない。ただ、どうやったら近づけるか”と前向きに捉えることが、ネガティブな時間を短くするコツです。

 思考を切り替えたいときには、単純ですが「ま、いっか」と口に出すだけでも効果があります。「夢をかなえるゾウ」の著者、水野敬也氏は「逆におもろいわ」とつぶやくことで、脳が面白いことを無理やり探すようになると述べています(著書『スパルタ婚活塾』より)。どのような形でも構いません。自分に合った方法で思考を切り替え、物事の捉え方の幅を広げると、思考の柔軟性が増すのです。

 ここで挙げた方法のほかにも、知識やノウハウはありますし、レジリエンスを鍛えるトレーニングを学べる場所もあります。アクシデントや逆境、さまざまなストレスをしなやかに受け止め、日々のタスクに“粛々と”取り組みましょう。プロジェクトに“何もない日”なんてありません。そして、プロマネはアクシデントに一喜一憂している暇などないのです。

著者プロフィール:岩淺こまき

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 グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師

 大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気付く。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。


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