インタビュー
» 2017年08月30日 08時00分 公開

購買履歴から行動履歴へ:「スマホシフト」に挑むケンタッキー、膨大な顧客データをどう統合するのか? (2/3)

[寺澤慎祐,ITmedia]

膨大な会員データの統合に挑むKFC

 塩谷氏がCRMを行うにあたって、まず取り組んだのは、「デジタルCRM」構想に基づく会員データの統合だ。これまでのCRMはID-POSデータをベースにしていたが、購買者のうち、コミュニケーションをとれる顧客が限られ、CRMの対象が小さかったことが課題だった。

 「デジタルCRMで目指したのは、Facebookで『いいね!』をしたとか、アプリに送ったクーポンを開封したとかといった、購買前後の行動履歴が分かること。デジタル世界での行動履歴をまずは把握し、対象を広げた上で購買結果であるID-POSデータも統合することを描きました」(塩谷氏)

photo これまでID-POSデータをベースにしていた顧客管理から、公式アプリやメールマガジン、SNSといったデータを活用した顧客管理に方針を変えた(出典:日本ケンタッキー・フライド・チキン)

 デジタルCRMの実現に向けて、メール配信をコントロールするマーケティングオートメーションツールに加え、DMP(Data Management Platform)の導入も行ったという。特にDMPでは、将来的にWebサイトやアプリ内での行動のみならず、SNSのファン、Webプロモーション実績などといった情報も活用できるイメージを持っている。

photo データ統合マーケティングの全体像(出典:日本ケンタッキー・フライド・チキン)

データ統合は“調整”の苦労が多い

 こうしたID統合や基盤構築の取り組みは、地味かつ効果が見えにくいことから、経営陣への説明に苦慮するケースが多い。塩谷氏もまたROIの算出には苦労したとのことだが、顧客を知るという目的に対する理解はあったため、話がスムーズに進んだそうだ。

 「ID統合や基盤構築は時間も費用もかかります。すぐに効果が出るわけでもなく、利益につながる構造も複雑であるため、ROIを算出することは難しいのです。しかし、会社として『お客さまを知りたい』という理想を目指す点については、すぐに理解が得られたのは大きかったですね」(塩谷氏)

 情報システム部門との調整も難しかったという。やりたい施策に対して、運用やセキュリティなどの課題はどうしても出てくる。そのため、まずは公式アプリのリニューアルなど、インフラに影響が少ない施策から進めていったそうだ。そこで実績が出たのち、会社全体の課題として「お客さまを知りたい」というメッセージを出し、徐々に会社全体を巻き込んでいったのだという。

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