営業部門のデータを“真っ裸”にしたら、全員のモチベーションも成績も上がったデータのじかん(1/3 ページ)

常に共通の指標となるデータをみんなの目に見えるようにすることが重要――そう語る元トップセールマンが語る、成果が上がる組織のデザイン法とは?

» 2017年12月06日 07時00分 公開

「データのじかん」とは

データの面白さ、データのためのテクノロジー、データを活用するためのアイデアを分かりやすく紹介する情報サイト。

本記事は「データのじかん」に掲載された「営業部門のデータを“真っ裸”にしたら 全員のモチベーションも成績も上がった話」を編集して掲載しています。


 「名選手、名監督にあらず」と言いますが、ウイングアーク1stの久我温紀さん(営業・ソリューション本部 副本部長)は例外です。新人の頃からトップセールスの道を走り続け、マネジャーになると自部門の成績を常に向上させてきました。成功の秘密は、データの活用にあります。予算や実績だけでなく個々人の成績や進捗をことごとくオープンにするとともに、久我さんが培ってきた、勘に頼らない合理的な営業のノウハウを伝授。それによってメンバーの考え方や行動を変革したのです。

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情報を可視化したらメンバーが自ら動く組織に

 2010年以降、会社全体の売上は伸び続けていたものの、東日本地域の営業部門の多くが、高い目標を達成できない状況が続いていました。しかし、その中で久我さんが率いる部署は2014年に独自の可視化システムを導入し、2015年以降は目標を連続達成してきました。そして、複数に分かれていた営業部門が徐々に統合され東日本営業統括部となり、久我さんが部長に就任。現在は60人超の人員で会社全体の約7割の売上予算を背負っています。

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 久我さんの部門で導入した可視化システムは、BIツールを自分たちで営業部門向けに特化させたダッシュボードで、その名は「MAPPA」(マッパ)。部門全体、そして各個人の予算に対する実績や営業活動の状況(訪問件数や受注見込の案件数や金額など)が、分かりやすいグラフでリアルタイムに、表示されます。

 システムのネーミングもユニーク。イタリア語で「地図」を表す単語MAPPAという言葉に、目標達成までの道のりを示すものという意味と「営業プロセスを“真っ裸”にする」という意味を込めています。

 注目すべきは、このダッシュボードが管理職だけでなく、メンバー全員に公開されているということ。情報の透明性を高めた結果、営業メンバー一人ひとりの自律性が高まったと、久我さんは振り返ります。

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 「例えば『部門としての今期の目標に、あと少し足りない』というとき、以前は『少し足りないから、何とかならないか』という話をマネジャーからしなければ、メンバーは動かなかったんです。でも、各自がリアルタイムに部門の状況を把握できるようになって、『あれくらいなら自分の持っている案件でなんとかなりそうだ』と、何も言わなくても自分から動いてくれるようになりました。データを可視化したことで、それが個々人にとっての道しるべになって、共通の目標に向かっていけるようになったのです

 リーダーが細かな指示を出してメンバーを動かす「コマンドマネジメント型」の組織と、メンバーが自らの判断で動き、リーダーはそれをサポートする「セルフマネジメント型」の組織では、短期的には同じ成果が出せたとしても、後者の方が圧倒的に価値が高いと久我さんは考えています。現場が指示を待たずにスピーディーに動くので効率がよく、個々人の持っている発想が生かされ、組織の活性化と個々人のモチベーションも高まるからです。

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