先進的なIT企業では、ビジネスやサービスに人工知能を使うのが当たり前になりつつあるが、アクティブユーザーが3億以上という老舗SNSの「Twitter」では、どのように活用しているのだろうか。
昨今、GoogleやFacebook、Microsoftなど、先進的なIT企業では、提供するサービスで人工知能(機械学習)を活用するのが当たり前になりつつある。高精度なレコメンド機能をはじめとして、コンシェルジュやチャットボット、そしてサービスの改善活動など、人工知能が活躍する範囲は幅広い。
2018年3月で12周年を迎えるSNSサービス「Twitter」もその1つだ。日本における月間利用者(MAU=Monthly Active Users)は4500万人を超えており、全世界では3億3000万人に達している。最近では、単なるつぶやきサービスの枠を超え、気象状況(天気に関するつぶやき)や電車の遅延状況を知ることもできるし、特定の商品の感想といった情報も検索できる。そのつぶやきから得られるデータは膨大だ。
そんなTwitterでは、タイムラインの優先表示や広告表示などに機械学習を活用しており、近年では深層学習(ディープラーニング)もサービスに取り入れているという。
Twitterでは、サンフランシスコにある本社に多くのAIエンジニアが在籍している。Twitter Japanでシニアマーケティングマネージャーを勤める森田謙太郎氏は、ラジオ番組の出演をきっかけに、同社のAI活用について、現地にまで飛んでエンジニアに聞いてきたそうだ。
森田氏によると、Twitterでは最近、画像のトリミング機能に深層学習を取り入れたという。Twitterでは、2011年から画像の投稿に対応しており、画像付きのツイートをすると、つぶやきとともに画像のプレビュー(サムネイル)が表示される。プレビューは自動でトリミング(切り出し)されるのだが、どの部分を切り出すかという基準は機械側に任せられるのだ。
とはいえ、単純に写真の中央部分などを表示しても、意味不明な画像になってしまうケースも少なくない。そこでTwitterでは、機械学習を使って写真内にある人間の顔(両目)を認識させ、その部分を中心にトリミングを行っていた。しかし、これでは人間が写っていない画像や猫などの画像では、判断基準がなくなってしまう。
そのため、トリミングの基準を「画像内で人が注目する部分(視覚的顕著性)」に変え、その学習のために深層学習を使ったことをブログで発表した。顔や動物といった要素に加えて、文字やはっきりとした明暗がついた部分に着目するように、画像認識AIのアルゴリズムを変えたという。
「画像認識AIはこのほかにも、広告ポリシーに違反する画像やポルノ画像といった要素の判定にも使っている」と森田氏。とはいえ、これらの検知は、全てを人工知能に任せているわけではなく、人工知能がアラートを出し、最後は人間の目で判断するフローにしているそうだ。
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