べック氏は、スマートファクトリーについて、工程の自動化を中心としたファクトリーオートメーションを進めるため、日本国内の工場に24億円を投資する考えを明らかにした。ロボットだけではなく、機械学習や拡張現実(AR)などの活用も目指す。
そのためにも、「メインフレームを中心としたレガシーシステムをデジタルな基盤へと移行する」とべック氏。今後生まれるさまざまな技術に対応できるよう、高い拡張性を持ち、トライアンドエラーが行いやすいクラウドへの移行を予定しているそうだ。ハード面だけではなく、失敗を恐れない文化づくりや、今まで社内には少なかったソフトウェア開発者などを積極的に採用するなど、ソフト面の改革も進めているという。
そして、イベントの中で大きな注目を集めたのが、ヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」を使ったアプリケーションのデモだ。トラックの設計モデルを3Dで浮かび上がらせ、デザイナーやエンジニアなど複数のスタッフと、設計についてやりとりをするという仕組みで、年内には実用化まで進めるとしている。
今後は設計だけではなく、メンテナンス業務などにも活用する予定で、「世界中のスタッフが時差や距離を越えたコラボレーションができることを目指す」(三菱ふそう)という。
「ビジネスを破壊される側ではなく、破壊する側に立ちたい」――。イベントでこう話す三菱ふそうの取り組みからは、生き残りに賭ける強い思いが感じられる。トラックを取り巻く市場が厳しさを増している今、人とクルマを次々とつなげ、新たな価値を生み出すようなIT投資が、次のステージに進むためのカギになるのだろう。
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