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シネマDSPの“映画館の臨場感”を2万円台で――ヤマハ「TSS-15」レビュー:5.1chサラウンドシステム特集(3/3 ページ)

» 2004年12月01日 21時12分 公開
[浅井研二,ITmedia]
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 別に再生モードのボタンもあり、「オート」「ドルビープロロジックIIムービー」「ドルビープロロジックIIミュージック」を選べる。「オート」にすると、デジタルサラウンド信号は加工なしでデコードされ、2チャンネルソースも2.1chでダイレクトに再生される。「ドルビープロロジックIIムービー」「ドルビープロロジックIIミュージック」ではステレオ音声を5.1ch化する。

photo アイコンつきのシネマDSPプログラム切替ボタンなど。選択中のプログラムボタンが点灯する

 また、バーチャルサラウンドモードは、3.1chのみで仮想サラウンド再生を行うものだが、リア用スピーカーをフロントの横に並べて、音を補えるようになっている(リア用から出力される音声はフロントと同じなので、ワイド化となる)。ほかに、ヘッドホンで疑似サラウンドを行う「サイレントシネマ」や、ダイナミックレンジを狭めることで夜間でも音量をさほど絞らずにすませられる「ナイトリスニング」機能も搭載している。

photo 操作はシンプルなので、本体のボタンだけでもほとんどの機能を呼び出せる。リモコンでしかできないのは、テストトーンやナイトリスニング、多重音声切替くらいだ

 音に関しては、音楽をじっくり聴くには、ややこもり気味の印象で、力不足の感は否めない。しかし、映画を観る場合には、シネマDSPがなかなかの雰囲気を味わわせてくれる。まさしく、映画館のような残響を再現できるので、それを好む人であれば、はまるに違いない。逆に、シネマDSPをオフにするのであれば、この製品を選択する意味はなくなってしまう。シネマDSPを使っても方向感も失われることはなく、むしろ、明瞭といえるだろう。もちろん、バランスもよい。ただ、音の広がりは水平方向は十分なものの、上下方向へはやや薄く感じられた。

 この製品では大音量でも無理のない音を聴かせてくれるのだが、幅広い設置方法への対応や価格の安さもあり、リビングとは別に、書斎にデスクトップシアターを構築する際などに導入してみたい印象だ。サラウンドシステムが2つもあるというと贅沢な趣きだが、前回のデノン「DHT-M330」をリビングに、そして「TSS-15」を書斎に設置したとしても、合計で6万円程度ですんでしまう。なんとも、おそろしい(?)時代になったものだ。

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