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DLP対3LCD――プロジェクター向けデバイス最新動向2005 International CES(2/2 ページ)

» 2005年01月11日 09時13分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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フルHD対応D5パネルと富士通ゼネラルのフルHDプロジェクターに注目

 一方、3LCDを用いる製品の中で目立っていたのが、1920×1080ピクセルの解像度を持つD5パネルを用いたリアプロTV。セイコーエプソンと松下電器産業が展示していたが、画質面ではやや松下製品の方が良い印象を受ける。が、いずれも試作機の段階で絵作りの完成度を評価する時期ではない。とはいうものの、コントラスト感が高く暗部のディテールも潰れず、階調も豊か。画質を追い込めば、相当にきれいな絵になりそうだ。

photo セイコーエプソンがCESで出展したD5パネル搭載リアプロTV

 D5世代のフルHDパネルは0.9インチだが、現世代D4のフルHDパネルも存在する。富士通ゼネラルのフロントプロジェクター「LPF-D711」に採用されているのがそれだが、可変アイリスによるコントラスト拡張機能も備え、特に高輝度の領域では驚くほど画質がいい。同製品は日本で発表された後、透過型液晶なのに高すぎると言われたが、実際の投影像を見ればその価格にも納得できるというものだ。十分に色純度が高く、かとって極端な誇張が無く自然な絵だ。

 精細感が高いのはもちろんだが、解像度が高いため透過型液晶特有のグリッドが見えにくく、適切な視聴距離を取ればざらついた印象は全くない。これはD5採用のリアプロTVでも同じだ。

 日本で売れ筋のフロントプロジェクターは、D4世代の720Pパネルで0.7インチサイズのため、D5フルHDパネル(0.9インチ)からそのまま置き換えることはできず、筐体は再設計となる(D5の720Pパネルは同サイズのため置き換えが可能)。しかし1.3インチパネルのLPF-D711よりは相当光学系をコンパクトにできると考えられ、今後の新製品動向に関して楽しみがひとつ増えた。

 開口率を比較すると、実はD5世代のフルHDパネルの方がD4世代のフルHDパネルよりも低い(それぞれ51%と58%)が、ここまでピクセルピッチが小さいと、さほど気にならないと思われる。

DLPはLED光源化で化ける?

 冒頭のDMD素子に関する解説をして頂いたのは、DMD素子を製造するTexas Insturuments(TI)DLP事業部テーブルトップ事業マネージャのJohn R. Reder氏だが、同氏はDLPの弱点があと3年ほどで解決できると話している。

photo TI DLP事業部テーブルトップ事業マネージャのJohn R. Reder氏

 それは光源にLEDを用いる方法だ。LEDはオン/オフのレスポンスが速いため、DMD素子のミラー動作と同時に光源のオン/オフ制御を組み合わせることで、より多くの階調を表現可能になる。DLPは一般に暗部階調に乏しく、シャドウが潰れた描写になってしまうが、LED光源のオン/オフ制御を行えば問題は解決できるとReder氏は語る。

 同様に色が分離して見える単板DLP特有のカラーブレイク現象に関しても、LED光源のオン/オフ制御で階調が豊かになれば、その分を使ってカラーの切り替え速度を速め、カラーブレイク現象を視覚上、ほぼ追放できるという。また色純度が高く再現域が拡がるのは、液晶バックライトに用いた場合と同じである。

 「ここ2〜3年でLED光源のDLPリアプロTVが可能」とReder氏。リアプロTVはフロントプロジェクターよりも光の利用効率が高く明るいため、フロントプロジェクターよりも先にLED光源を実用化しやすい。

 もしReder氏の言うようにLED光源の特徴を生かせるならば、カラーブレイクと暗部階調という、単板DLPの2大弱点が2〜3年後には解消されるのかもしれない。

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