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並べてわかった液晶テレビ選択の“ツボ”特集:夏ボで狙いたい液晶テレビ(3/3 ページ)

» 2005年06月22日 01時50分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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 今回レビューを行った5製品は、どちらかといえば新しく、注目度の高い製品という点を基準にしたため、製品としての位置付けが統一できなかった。このため製品の優劣を直接下すことは難しいのだが、各社の画質の傾向という点では参考になるはずだ。念のため数店の大型販売店を回って、レビューで取り上げた製品の上位モデル、下位モデルなども簡単に比較視聴してみたが、少なくとも現行製品なら画質の傾向にはやはり共通の“メーカー色”が出ている。

 たとえば松下の「TH-26LX500」と「LX50」シリーズは、採用している液晶パネルも異なるといわれているが、締りのある黒を重視しこってりとした発色は共通。東芝の製品は付加機能で差別化を図っている感も強いが、LC/LH/LZシリーズともにコントラストが強く、鮮やかな白という印象は変わらない。

 唯一、ソニーの「ハッピーベガ」と「HVX」の印象はかなり異なり、HVXはノイズ感をほとんど感じずよりクッキリとエッジを立てた印象で、地上波アナログ放送もハッピーベガほどの難は感じなかった。このソニーの2シリーズは映像回路が大幅に異なるため、画質の傾向が違うのも当然なのかもしれない。

 今回レビューした5製品をまとめてみると、ビクター「LT-26LC60」はHDMI、i.Linkなど入出力端子の付加機能がまず魅力だ。それでいてデジタルチューナー内蔵モデルとしてはこなれた価格帯にあり、この点も魅力だ。記憶色を再現する、とする発色も他社とは傾向が異なるが、人肌が“健康的”に見えるような、意図的とも感じる“赤み”を感じなかったのはこの製品のみだった。

photo ビクターと松下の製品は「Tナビ」に対応しているのも特徴。東芝「26LH100」はWebブラウザを搭載している

 東芝「26LH100」は、ハイビジョン録画が可能なHDDレコーダーを内蔵している点を考えると、価格的な魅力は大きい。恐らくはベースとなっているLC100との価格差は5万円程度だ。最終的にDVDメディアなどに保存できないという難点はあるが、とにかく見たい番組を手軽にハイビジョン録画したい層には納得できる価格差だろう。また入力切替が不要、リモコンも1つで済むなど、家族にHDD+DVDレコーダの使い方を覚えてもらうより先に、確実&簡単にハイビジョン録画を使ってもらえる。クッキリとした画質も万人に受けいられやすい。その反面、入出力端子の貧弱さは明らかな弱点だ。

photo 東芝「26LH100」の最大の特徴は「ちょっとタイム」機能。不意の来客などで席を外すとき、リモコンにあるボタンを押すと画面に時計のマークが出て、その時点から録画を開始する。もう一度ボタンを押すと、先ほどのシーンに遡って再生を始める
photo 東芝「26LH100」はWebブラウザも搭載

 松下の「TH-26LX500」は、ハイグレード製品ゆえに機能豊富。それでいて使い勝手への配慮も多く、いかにも同社らしい製品だ。価格相応の付加機能は備えているが、基本機能面だけでいえば下位モデルのLX50で十分とする人は多いだろう。ただし、デジタルチューナーを2系統備えているのは魅力で、パイオニア「DVR-720/920H」、アイ・オー・データ機器「RecPOT」など、i.Link接続のハイビジョンレコーダーと組み合わせれば、デジタル放送のデジタル録画と視聴を両立できる。

 ソニー「KDL-S26A10」は、レビューでも触れたようにデジタル放送視聴が中心の人にお勧めだ。今回レビューしたチューナー内蔵製品では、唯一地上アナログ放送のチューナーが1系統で、地上波アナログのEPGも未サポート。2画面表示機能もないなど割り切った仕様だが、デジタル放送の視聴用に購入するのであれば、価格的にも魅力がある。

 反面、競合製品との価格差が縮まっているのも事実で、登場時ほどの価格のインパクトはない。ビクター「LT-26LC60」や、東芝「26LH100」からHDDレコーダーを省略した「26LC100」との価格差がほとんどなく、価格のわりに充実したAV入出力、使えるRGB入力という特徴を除くと、機能面での見劣りする面は多い。現状は製品としての旬を過ぎてしまったかな? という印象で、夏ボーナスで買うとなれば、もう少し実売価格が下がらないと……というのも正直な感想だ。

 デジタルチューナーレス、という点で少々比較の難しいバイ・デザイン「d:2632dj」だが、デジタルケーブルテレビに加入している人、あるいはデジタルチューナー内蔵のレコーダーと組み合わせるとなれば、絶対的に安い価格は魅力だ。取り扱いのある大型量販店で購入すれば、ポイントバックを加味して実質11万円台で購入できる。単体デジタルチューナーの価格を考えると割安感が薄れるのも事実だが、そもそもこの製品にわざわざ単体デジタルチューナーを購入して組み合わせる人はいないだろう。またバイ・デザインに関しては、段階的な値下げが行われるので、ちょっと様子を見るのも良いかもしれない(バイ・デザインには迷惑だろうが)。

photo バイ・デザイン「d:2632dj」。従来製品が海外メーカー製のパネルを採用していたのに対し、今回は国産パネルということで話題になった

 今回は、製品出荷のタイミングの問題から、夏モデルとして製品を投入しているシャープ、三洋電機、三菱電機の製品のレビューは行えなかった。三洋電機は、さまざまなスポーツ中継に対応する画面モードを搭載、三菱電機はブラウン管時代にも話題となった電動でスイーベルが可能な「オートターン」を採用し、手軽にベストな視聴環境を確保できる。高速な起動、チャンネル切り換えを実現し、使い勝手に注力するなどそれぞれ意欲的な製品だ。これらの製品についても継続してレビューを行っていく予定だ。


 今回、26型液晶テレビを何台も同時に検証するという作業に伴い、編集部や筆者宅では物理的に制限が多いため、東京・用賀の「スタジオKJS」にご協力いただいた。この場を借りて、関係者に御礼を申し上げておきたい(今後もお世話になります)。

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