そもそも一眼レフカメラとは、レンズに映る画像を反射鏡の働きによりファインダーに結像させる構造をその特徴とする。その名称は撮影とファインダーの光学系統が共通(シングルレンズ=一眼)であり、ミラーにより光の道筋を変える(レフレックス=レフ)、という特徴の一部をつなぎ合わせたものだ。
一眼レフのデジタルカメラ版「デジタル一眼レフ」は、撮像素子から記録媒体までの経路がデジタル化されたことをのぞけば、基本的な構造は銀塩の一眼レフカメラと同じ。マウントシステムが共通であればレンズを交換できるなど、一眼レフならではの撮影技術が利用できることから、デジタルカメラ市場の成熟に伴い人気が高まっている。
しかし、撮像素子の前にシャッターとミラーがあるという一眼レフとしての構造ゆえに、デジタル一眼レフでは背面液晶モニターで確認(ライブビュー)しながらの撮影ができなかった。この撮影スタイルはデジタルカメラ独特のものだが、ファインダーをのぞき込まずに済むなど利点も多く、すでにコンパクト機では一般化されていることから、要望が多かったと聞く。
このように構造上難しいとされてきたデジタル一眼レフのライブビューだが、2006年2月発表のオリンパス「E-330」が世界で初めて対応。デジタル一眼レフ愛好家に少なからぬ衝撃をもたらした。
E-330は専用CCDとLive MOSという2系統のセンサーを搭載し、ライブビューを実現している。現在では他メーカーもライブビュー搭載機をリリースしているが、ここでは先駆者のE-330を例にその仕組みを説明してみよう。
E-330で専用CCDを利用する方法は「Aモード」と呼ばれ、レンズから入った光が内部のミラーに反射、最後に到達するハーフミラーにより、光学ファインダーに約7割と専用CCDに約3割の光を分配することでライブビューを実現している。その構造上視野率は100%にならず、やや暗くなる傾向があることが弱点だ。
Live MOSを利用する方法「Bモード」は、撮像素子から直接画像を得るため100%の視野率となる。しかし、撮像素子上のコントラスト検出を利用できず、シャッターを押したあとミラーアップ&合焦して撮影という流れになるため、若干のタイムラグが生じてしまう(E-330の発売当初はMF専用モードだった)。
E-330では非対応とされた、ライブビュー時におけるホワイトバランスや露出補正の確認だが、2007年3月発表の「E-410」および「E-510」で対応。いまやフラッグシップ機「E-3」も対応し、オリンパスのデジタル一眼レフではライブビュー対応が標準となった。E-330でいうところのAモードは採用されなくなったが、今後もブラッシュアップが期待できる重要な機能といえるだろう。
執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)
ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。
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