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» 2009年03月05日 17時30分 UPDATE

デジモノ家電を読み解くキーワード:「白色LED」――エコ重視のいま注目される光源

液晶パネルに欠かせない「バックライト」。これまでは光源に蛍光管を使う製品が多かったが、最近ではLEDを採用する製品も増えてきた。その中でも注目されるのは「白色LED」だ。

[海上忍,ITmedia]

 液晶パネルに欠かせない「バックライト」。従来は、水銀を使う冷陰極蛍光(CCFL)が広く利用されてきたが、ここのところLEDを採用する事例が増えている。今回は、数種類あるLEDバックライトのうち、もっとも広範囲での利用が期待されている白色LEDについて解説してみよう。

省エネ・省スペースのバックライト

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 薄型テレビなど液晶パネルへの採用事例が増えている「LEDバックライト」。現在、液晶テレビにおいては一般的である冷陰極蛍光(CCFL)と比較すると、点灯用の高電圧インバーターや高電圧部周辺のノイズ対策が必要ないこと、20〜60%ほど少ない電力消費量で同程度の輝度を実現すること、水銀を使わないため環境に優しいことなどが評価されている。

 部分的に消灯できる構造により、電力消費量の抑制とあわせて「黒らしい黒」を実現できるという画質面での利点もある。生産コストの関係もあり、一気にCCFL式に取って代わるとは考えにくいものの、今後、急速にシェアを伸ばしていくと思われる。

改良版白色LEDが主流に

 なかでも伸びが期待されているのは「白色LED」だ。LEDを液晶パネルのバックライトに用いる場合、RGB3色のLEDをワンセットにして点灯/消灯する(RGB-LED)という選択肢もあるが、RGB-LEDはRGBをそれぞれ制御することで画質面での貢献も期待できるが、LEDの絶対数が多くなるため電力消費量がかさむ。それに実装スペースが増えるうえ、排熱の問題も生じてくる。単色であるため画質面での向上は期待できないものの、省エネ・省スペース・省コストの3拍子が揃った白色LEDのほうが利用の裾野は広い、というわけだ。

photo 「P001」には高色再現性白色LEDが採用され、色再現範囲が大幅に向上している

 ところで、赤や青、紫といったLEDの発光色は、その材質(正確には材質が持つ価電子帯と伝導帯のエネルギー差=バンドギャップ)によって決まる。しかし白を再現するには2色以上の波長が必要なため、従来は黄色の蛍光体やポリマーシートをフィルタさせることで白色を実現していたが、不自然な発色が課題となっていた。

 その改良版として登場したのが「高色再現性白色LED」。このLEDを採用したパナソニック製携帯電話「P001」は、既存モデル(W61P)に比較して色再現性がNTSC比で約1.8倍向上されているという(→開発陣に聞く「P001」:美しい見た目にスリムなボディ、「P001」はさりげなく“美人”と暮らせるケータイ)。シャープも同様の白色LEDを1月に発売、携帯電話やゲーム機での需要を見込んでいる。

照明器具の光源としても注目

 バックライトとしての用途が注目を集めがちな白色LEDだが、照明器具用光源としての役割も期待されている。LEDはエネルギー変換効率が90%以上と高く、白熱電球(約15〜30%)や蛍光灯(約60%)に比べ圧倒的に省エネ。しかも寿命は蛍光灯の10倍程度と長い。

 しかし、高出力を得ようとすると発熱が急増するため高出力製品の実用化が困難であるほか、単価面の問題も解決し切れていない。しかし、懐中電灯や家庭用照明では置き換えも進んでおり、将来的には液晶用バックライトより、照明器具としての用途のほうが広く知られるようになるはずだ。

執筆者プロフィール:海上忍(うなかみ しのぶ)

ITコラムニスト。現役のNEXTSTEP 3.3Jユーザにして大のデジタルガジェット好き。近著には「デジタル家電のしくみとポイント 2」、「改訂版 Mac OS X ターミナルコマンド ポケットリファレンス」(いずれも技術評論社刊)など。


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