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フロントガラスの前方にAR情報が浮いて見えるナビ、カロッツェリアから世界初

» 2012年05月08日 22時20分 公開
[ITmedia]

 パイオニアは、“カロッツェリア”「サイバーナビ」の新製品として、フロントガラスの前方にAR(拡張現実)によるナビ情報が浮いて見える「AR HUD(ヘッドアップディスプレイ) ユニット」付きカーナビゲーションシステム2機種を発表した。1D+1Dメインユニットタイプの「AVIC-VH99HUD」と2Dメインユニットタイプの「AVIC-VH99HUD」を7月下旬に発売する。

Photo フロントガラス先に投影したAR情報のイメージ。ルート表示や案内地点までの距離などを分かりやすく配置した

 AR HUDユニットは、サンバイザーの設置場所を利用して取り付ける。ユニット内にはRGBのレーザー光源と小型のスクリーンを備え、その前方に「コンバイナー」(合成器)と呼ばれるハーフミラーを設けた。レーザー光がスクリーン上をラスタースキャン(ブラウン管の走査と同じ原理)して映し出したナビ映像は、コンバイナーに反射して利用者の目に入る仕組み。その際、コンバイナーの凹面構造により、ナビ映像は虚像という形で実際より遠くに、大きく見えるという。「夜の電車の窓を見たとき、自分が窓の表面に映るのではなく、その先にいるように見える現象と同じ」(パイオニア)。

AR HUDユニットの仕組み。光源にはRGBのレーザーを使用しているため、フルカラー映像の表示が可能。半透明のコンバイナーは実際の風景を透過し、ナビ情報が重なって見える

 今回は、フロントウィンドウの3メートル先に37インチ相当(幅90センチ、高さ30センチ)のナビ画像が浮いて見えるように調整した。この「AR HUD ビュー」機能により、「ドライバーは瞬時に情報を把握できるとともに、視線移動と遠近の焦点合わせも大幅に軽減される」(同社)。

 AR HUD ビューには3つのモードがある。「HUD ドライバーモード」では、目的地までのルート情報や車間距離、信号などで停車した場合は3つ先までの交差点名称や誘導方向を配置。赤信号を検知した場合はアイコンで示す一方、青信号や前方・自車両の発進を検知すると自動的にHUD ドライバーモードへと切り替える。

 高速道路に入ると自動で「HUD ハイウェイモード」へと移行し、高速の出口までの距離や通過予想時刻やSA/PAの施設内情報、渋滞などの道路状況をルートの色を変えて表示。道路種別に色分けした自車位置周辺地図を6段階で表示する「HUD マップモード」では、レーン情報や案内矢印、赤信号検知も可能となっている。

 このほか「クルーズスカウターユニット」を利用した独自の映像技術により、リアルタイムに速度標識や車間距離、レーン移動などを検知する新機能を追加した「AR スカウターモード」を搭載。駐車場の混雑状況を表示する「パーキングウォッチャー」機能や、地図にない道路を走行して地図上に道路を自動生成する「ロードクリエイター」機能、約70万キロの全道路を対象にルート検索する「スマートループ渋滞情報」を利用できる。

PhotoPhoto 1D+1Dメインユニットタイプの「AVIC-VH99HUD」(写真=左)と、2Dメインユニットタイプの「AVIC-ZH99HUD」(写真=右)

 価格は両機種ともオープンプライス。1D+1Dメインユニットタイプの「AVIC-VH99HUD」は店頭で20万円前後、2Dメインユニットタイプの「AVIC-VH99HUD」は32万前後になる見込みだ。このほかAR HUDユニットを同梱しない5機種も同時にリリースされているが、一部機種は別売のAR HUDユニット「ND-HUD1」(10万5000円)を追加できる。

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