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» 2013年02月04日 16時24分 UPDATE

マランツ60周年記念モデル:「PCはノイズのかたまり」――マランツが考えるUSB DAC/ネットワークプレーヤーのあるべき姿、「NA-11S1」登場

マランツは、USB DAC/ネットワークプレーヤーのフラグシップモデル「NA-11S1」を発表した。昨年発売したSACDプレーヤー「SA-11S3」と共通のデザインながら、単体プレーヤーとは違う部分で苦労したという。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 マランツは2月4日、USB DAC/ネットワークプレーヤーのフラグシップとなる「NA-11S1」を発表した。同社の設立60周年記念モデルとして、2月下旬に発売する。価格は34万6500円。

ts_marantz04.jpgts_marantz07.jpg マランツの設立60周年記念モデル「NA-11S1」。ボディーカラーはゴールド

 昨年発売したSACDプレーヤー「SA-11S3」、プリメインアンプ「PM-11S3」と共通のデザインコンセプトを持つネットワークプレーヤー。60周年記念モデルといっても特別なエンブレムが与えられるわけではなく、限定販売でもないが、「世界初のSACDプレーヤーなど、これまでマランツはさまざまなプレーヤーを世に送り出してきた。NA-11S1は、それ自体が60周年の意味を持つ集大成であり、USB-DAC/ネットワークプレーヤーの決定版」(マランツ音質担当マネージャーの澤田龍一氏)という。

ts_marantz08.jpgts_marantz017.jpg 背面にはPC接続用のUSB B端子やLAN端子を装備。アナログ出力は、コンポジットとXLR(バランス)。光/同軸のデジタル出力もある

 DACチップに「DSD1792A」を採用し、背面のUSB-B端子にPCを接続すれば、192kHz/24bitまでのPCMおよび2.8MHzまでのDSDファイルが再生できる。一方のネットワークプレーヤー機能は、DLNA 1.5準拠(DMP/DMR)。MP3、WMA、AAC、WAV、FLAC、Apple Losslessのネットワーク再生が可能で、このうちWAVとFLACは192kHz/24bitまで対応。ライブ盤などの曲間で音が途切れないギャップレス再生も可能だ。さらにアップルの「AirPlay」対応やインターネットラジオ機能もサポートしている。

入力端子 対応ファイル
USB-B(PC接続用、背面) PCM(192kHz/24bitまで)、DSD(2.8MHzまで)
LAN(ネットワーク) MP3/WMA/AAC(48kHzまで)、Apple Lossless(96kHz/24bitまで)、WAV/FLAC(192kHz/24bitまで)、ALAC(96kHz/24bitまで)
USB-A(USBメモリーなど、前面) MP3/WMA/AAC(48kHzまで)、Apple Lossless(96kHz/24bitまで)、WAV/FLAC(192kHz/24bitまで)、ALAC(96kHz/24bitまで)
光デジタル/同軸デジタル PCM(192kHz/24bitまで)
ts_marantz010.jpgts_marantz011.jpg 付属のリモコン(左)。スマートフォン用アプリ「Marantz Remote App」を使えば、Wi-Fi経由で電源のオン/オフから入力切替、ファイル選択、フィルター切替など一通りの操作が可能だ(右)

PCは“ノイズのかたまり”

 外観はSACDプレーヤーの「SA-11S3」に似ているが、中身はかなり異なるようだ。「単体で自己完結するSACDプレーヤーと異なり、ネットワークプレーヤーは外部機器と接続しなければならない」ため。従来のようにオーディオ的なアプローチで音質を上げようとしても、外部から入ってくるノイズがじゃまをするという。澤田氏は、「とくにPCはノイズのかたまり」と指摘する。

 開発のポイントは、徹底したアイソレーションとノイズフィルタリング。中でもPCとUSB接続する背面のUSB-B端子は、PCからの信号ラインおよびグラウンドの双方をメイン回路から電気的(直流的)に絶縁してノイズの流入を防ぐ仕様にした。「レシーバーに信号を取り込んだ後、8素子18回路ものデジタル・アイソレーターを用いてノイズの流入を阻止する。さらにUSB-B入力インタフェースとデジタルオーディオ回路の間はグラウンドも絶縁し、PCの接続を検知するとアースを切り替える仕組みだ」(澤田氏)。

ts_marantz03.jpgts_marantz02.jpg USB-B入力部。小さな黒いICがデジタル・アイソレーターだ(右)

 同社はこれを「コンプリート・アイソレーション・システム」と命名。PC入力時のグラウンドノイズは、SA-11S3に比べて4〜5dBは低くなったという。澤田氏は、「ノイズ対策については、今回“ある程度”は解決できたと思う。納得のいくプレーヤーが完成した」と胸を張った。

ts_marantz01.jpg 「コンプリート・アイソレーション・システム」の効果

 また、フロントパネルのUSB-A端子をはじめ、イーサネット(有線LAN)や同軸/光デジタル入力といったほかの入力端子にも効くのが、「ハイブリッドPLLジッター・リデューサー」。44.1kHz系と48kHz系のサンプリング周波数に応じて専用クリスタル(2個)を用いてリクロックする。「SA-11S3で効果があった技術。ジッターとひずみを低減し、ダイナミックレンジの拡大につながる」。

ts_marantz05.jpgts_marantz019.jpg フロントパネルのUSB-A端子は、iPod/iPhoneのデジタル接続および充電が可能。またUSBメモリーやUSB外付けHDDを接続すれば、192kHz/24bit対応のPCM、96kHz/24bitまでのApple Losslessなどを再生できる

 SA-11S3でも好評だったというマランツ独自のデジタルフィルターも継承した。これは、D/Aコンバーター内蔵のフィルター機能をあえて使用せず、マランツ独自のアルゴリズムにより、オーバーサンプリングやデジタルフィルター、DCフィルター、ノイズシェーパーといった機能を実現したもの。44.1kHzから192kHzまでのPCM信号に対応し、ユーザーは高解像度なサウンド(Filter 1)とアナログ的なサウンド(Filter 2)を切り替えて利用できる。なお、機能的には従来と変わらないが、今回から名称を「Marantz Musical Mastering」として訴求するという。

 フラグシップモデルらしく、アナログ回路にも力が入っている。SA-11S3と同様、独自の高速アンプモジュール「HDAM」および「HDAM-SA2」を採用した完全ディスクリート構成のフルバランス回路を採用。電源部には、DA-11S3よりもコアサイズをアップした大容量トロイダルコアトランスを用い、不要輻射を抑える銅メッキシールドケースに封入した。

ts_marantz06.jpgts_marantz016.jpg 大容量トロイダルコアトランスは、不要輻射を抑える銅メッキシールドケースに封入(左)。電源ケーブルも太い(右)

 アナログ回路とDAC電源用のブロックケミコンには、SA-11S3と同様、端子の素材に銅を採用するなど専用カスタマイズを加えたパーツを採用した。ヘッドフォンアンプは、オペアンプICを一切使用せず、フルディスクリート構成とすることで、ハイスピード化を徹底している。

 エクステリアはシリーズ共通。5ミリの厚さを持つアルミトップカバー、ダブルレイヤードシャーシ、アルミダイキャストインシュレーター、銅削りだしのピンジャックなど、ぜいたくな仕様だ。本体サイズは440(幅)×127(高さ)×417(奥行き)ミリ。重量は14.6キログラム。

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