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三“機”三様のチューニング、ヤマハがハイクラスAVアンプ「AVENTAGE」を刷新

» 2013年06月12日 18時27分 公開
[芹澤隆徳,ITmedia]

 ヤマハは、AVアンプの上位モデル“AVENTAGE”シリーズを一新し、「RX-A3030」など3機種を7月上旬から順次発売する。第3世代となる新シリーズは、DACの変更など音質面の強化に加え、3機種のチューニングをそれぞれ別の技術者が担当するという初の試みで「三者三様の音」を作り出した。

「RX-A3030」(左)と「RX-A2030」(右)。RX-A3030にはゴールドもラインアップ

型番 RX-A3030 RX-A2030 RX-A1030
パワーアンプ 150ワット×9ch 120ワット×9ch 110ワット×7ch
DAC ES9016+ES9006 ES9006×2 ES9006
シネマDSP シネマDSP HD3 シネマDSP 3Dモード
HDMI入出力 8入力/2出力(MHL対応)
価格 28万3500円 19万9500円 12万6000円
発売時期 7月下旬 7月上旬

 まずDACは、従来のBarrBrown(TI)製からESS Technology製に変更した。これは音質を重視したためで、「ESS製DACの特長である微小信号の再現性と高いS/Nを生かし、高域の透明感と豊かな響きを実現するのが目的」(ヤマハ)という。上位機のRX-A3030は、32bit対応の“ESS SABRE32 Ultra”(ES9016)と“SABRE Premier DAC”(ES9006)の“2個使い”というぜいたくな仕様。またRX-A2030にはES9006を2個、RX-A1030は1個使用している。

パワーアンプブロック(左)とESS Technology製DAC(右)

「RX-A1030」(左)。フロントパネルのHDMI入力1はMHL対応になった(右)

 パワーアンプは左右対称設計のフルディスクリート構成。電源部は、オーディオ回路とデジタル回路、FLディスプレイ回路にそれぞれ個別に電源を供給する3回路分離型パワーサプライを採用した。給電経路の最短化はもちろん、音質に影響を与える磁場なども考慮してレイアウト。またオーディオ入力部とDAC部の電位差を解消するD.O.P.G(DAC on Pure Ground)コンセプトや左右対称コンストラクションの制振/高剛性シャーシなどを従来機から継承している。底面の中央に“5番目の脚”を設け、筐体の共振を分散するというアプローチも従来機と同じだ。

“5番目の脚”やリモコンのデザインは従来機と同じ

最大192kHz/24bitまでのWAV/FLACをサポート

 ネットワークオーディオ機能では、AirPlayによるiOS端末やPC/Macからのワイヤレス再生に加え、同社製アプリ「AV CONTROLLER」を使ってAndroid端末からの楽曲再生も可能。DLNA 1.5のネットワークレシーバー機能では、最大192kHz/24bitまでのWAV/FLACをサポートした。また独自の信号処理で圧縮音源を補完する「ミュージックエンハンサー」を全モデルに搭載。さらにRX-A3030/A2030には非圧縮のCD音源やWAV、可逆圧縮のFLACなどに対しても最大96kHz/24bit分解能まで拡張処理を行う「ハイレゾリューション・ミュージックエンハンサー」も搭載した。

RX-A3030ではVPSにリアプレゼンスの生成が加わった

 「シネマDSP」は、RX-A3030のみ「シネマDSP HD3」で、ほかの2機種は「シネマDSP 3Dモード」に対応する。RX-A3030では新たにVPS(バーチャル・プレゼンス・スピーカー)機能にリアプレゼンスの生成が加わった。これにより、フロントとリアのプレゼンススピーカーを両方バーチャルにすることも可能になった(同時は不可)。セリフを画面中央まで引き上げる「ダイアログリフト」は3モデルともサポートしている。

 HDMI入力は、全モデルが8入力/2出力を装備。ARCや3D、4Kアップスケールへの対応に加え、新たにフロントの“HDMI入力1”がMHL(Mobile High-Definition Link)に対応した。

 そのほかの新しいフィーチャーとして、映像処理回路の変更やHDMI ZONE出力、8カ国語に対応したGUIなどが挙げられる。映像処理回路はヤマハオリジナルの「I/P変換に強い映像処理回路」(同社)を導入。HDMI ZONE出力は3モデルすべて対応しているが、上位2機種はアナログやデジタル入力音声なども出力できる点が異なる。

モデルごとに異なる音質傾向

 これまでヤマハでは、1人の技術者がシリーズ全体の音作りを担当するのが常だった。しかし今回は、あえて3モデルそれぞれを別の技術者がチューニングすることで、それぞれに個性を出している。同社によると、RX-A1030は20代の若手技術者、RX-A2030は30代の中堅技術者、そしてRX-A3030は40代のベテラン技術者が担当したという。


 このうち“AVENTAGEのスタンダード”と位置付けられているのはRX-A2030で、「どんなソースでも過不足なく楽しめる」のが特長だ。力強い低域をベースにエネルギッシュな音を奏でるRX-A1030は、どちらかといえば若者向け。そして最上位のRX-A3030は、高性能DACや大容量ブロックケミコン(1万8000μF×2)の採用もあり、大編成のクラシック楽曲でも余裕で聴かせる力がある。

 同社では、「圧倒的な解像度とスケール感を誇るRX-A3030、ウェルバランスな表現力のRX-A2030、快活でパワフルなRX-A1030。傾向の違いを体験してほしい」と話している。

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