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» 2014年08月29日 20時44分 UPDATE

“新しい挑戦”を詰め込んだブックシェルフ型――TAD「CE1」登場

TADからスピーカーのエントリーモデル「CE1」が登場。両側面がアルミパネルという個性的なルックスのブックシェルフ型だ。同社製品では珍しいカラーバリエーションも。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 テクニカル オーディオ デバイセズ ラボラトリーズ(TAD)は8月29日、スピーカーの新製品「Compact Evolution One」(TAD-CE1)を発表した。両側面がアルミパネルという個性的なルックスのブックシェルフ型だ。11月中旬に発売予定で、価格は1本80万円(税別)。専用スピーカースタンド「TAD-ST2」(ペア18万円)も同時に発売する。

ts_tad01.jpg 「Compact Evolution One」(TAD-CE1)

 TADは、パイオニアから分化したプロフェッショナルスタジオモニターのメーカーで、2007年から民生用高級オーディオ機器も手がけている。最高の音質を目指した「Referenceシリーズ」と、デジタル技術を積極的に取り込む「Evolutionシリーズ」という2つのシリーズを展開しており、TAD-CE1は、Evolutionシリーズの新製品。また同社製スピーカーのエントリーモデルに位置づけられる。

ts_tad02.jpgts_tad03.jpg TADの平野至洋社長(左)。スピーカー製品の位置づけ(右)

 ただし、エントリーといってもいわゆる廉価版とは異なる。「物量をかけ、妥協なく良い音を目指すReferenceシリーズに対し、Evolutionシリーズは新しいチャレンジをするシリーズでもある。CE1も、Referenceシリーズの技術を継承しつつ、いくつかの“挑戦”を加えた」(同社の平野至洋社長)。

 一見、2Wayの密閉型に見えるCE1だが、実は3Wayのバスレフ型になっている。上部ユニットは2センチツィーターと14センチのミッドレンジを同軸上に配置したCST(Coherent Source Transducer)。独自の蒸着法で加工したベリリウム振動のツィーターと、マグネシウム振動板のミッドレンジで250Hzから100kHzという広い帯域をカバーするとともに、「ミッドレンジのコーンがツィーターのウェーブガイドの一部として働くように設計しているため、クロスオーバーにおける位相特性や指向特性の乱れない。理想的なポイントソースユニットになっている」(同社)。クロスオーバー周波数は、人の声の帯域を避けて250Hzに設定した。

ts_tad05.jpgts_tad06.jpg CSTユニットとその構造

 18センチ径のウーファーは、フロアスタンディング型の「Evolution one」で使用したユニットをシングルウーファー用に改良したもの(E1はダブルウーファー)。アラミドの織布と不織布を5層にラミネートした振動板は、センターキャップとコーンを一体成形とすることで強さとカラレーションのない素直な中低域再生を獲得した。

ts_tad07.jpgts_tad08.jpg ウーファーの概要と構造

 注目のバスレフポートは側面にある。両サイドのアルミパネルの下にスリット状のポートを配置し、さらに前後へ開口部をレイアウト。つまりアルミ板の下からキャビネットの前と後ろにポートが開いている形になっている。さらにアルミ板の下には4ミリ厚の樹脂プレートで開口部に向け徐々に広がるホーン形状を作り、効率良くポートを駆動する。これを同社は「Bi-Directional ADS(Aero-Dynamic Slot)ポート」と名付けた。

ts_tad09.jpgts_tad010.jpg 「Bi-Directional ADSポート」の構造(左)と中が見えるように透明なアクリル板にしたモデル(右)

 「円形のバスレフポートでは中央部の空気の流れは高速で、周辺部が低速になってしまう。この違いによって再生音圧の上昇に伴い、音楽ソースには含まれないエアノイズ(いわゆるポートノイズ)が発生する」。Bi-Directional ADSはその形状により大振幅時のポートノイズを低減するとともに、低音再生に影響する低次の内部定在波がポートから漏洩する現象も抑え、クリアでレスポンスのよい中低域を実現したという。

 側板をアルミ製にしたのは、木材では「大振幅時に太鼓のように響いてしまう」から。またポートが前後でも左右でも対称のレイアウトとなり、エンクロージャーを振動させる力を打ち消す効果もあるという。

ts_tad04.jpgts_tad011.jpg

 そのエンクロージャーは、剛性の高いカバ材(バーチ)合板のフレームに内部損失の高いMDF材のパネルを組み合わせたもの。強度を確保しつつ共振を抑える。さらに10ミリ厚アルミパネルで左右から挟み込み、キャビネットの不要共振を低減した。

 もう1つの“挑戦”はCE1のデザインだ。TAD製スピーカーとしては珍しく明るい色の外装は「トロピカル オリーブ」。熟練工が塗装の吹きつけから下地塗装の研磨、磨き上げまで時間をかけて仕上げるという。なお、異なる仕上げの両サイドは、オーソドックスな黒に加えて白を用意。同色の専用スタンドをラインアップするほか、アルミ側板もシルバーとグレーの2種類を用意する。「組み合わせにより、4つのカラーバリエーションを導入する。インテリアに合わせて好みの色を選んでほしい」(平野氏)。

ts_tad013.jpgts_tad012.jpg 「ホワイト/シルバー」モデル

 さらに今後の展開として、アルミ側板に加工を加えた“スペシャルバージョン”なども検討していく。なお、ホワイトがベースになる2カラー(ホワイト/シルバー、ホワイト/グレー)の出荷開始は2015年夏になる予定だ(価格未定)。

ts_tad016.jpgts_tad015.jpg 製品仕様(左)。アルミの側板に加工を加えたスペシャルバージョンのアイデア(右)

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