インタビュー
» 2016年05月24日 17時08分 UPDATE

「スマート契約」で電気代はスマートになるの?――東電に聞いてきた (1/3)

東京電力をはじめ、ソフトバンクなど販売代理店の電力プランにも導入された「スマート契約」。一体、従来の契約と何が違うのか。担当者に詳しい話を聞いた。

[芹澤隆徳,ITmedia]

 4月にスタートした電力小売の全面自由化。携帯電話やガス代などとのセット割引やポイント制度に注目が集まっているようだが、プランを眺めていると、ときどき見かけるのが「スマート契約」という言葉。東京電力と、その販売代理店となっているソフトバンクなどの電力プランに導入されている基本料金の新しい算定手法について担当者に話を聞いた。

東京電力エナジーパートナー株式会社、リビング事業本部 戦略・マーケティンググループの河田志穂課長代理(左)と花尾美智子課長(右)。広報担当者にも同席してもらった

――まず東電の新しい料金プランについて概要を教えてください

河田氏:家庭向けの新しい料金プランは、大きく分けて「スタンダードプラン」「プレミアムプラン」「スマートライフプラン」「夜トクプラン」の4種類です。

 今までの料金プランと比較すると、例えば一般的な家庭で多く入っている「従量電灯B/C」の40A(アンペア)などで月に8000円程度までのご家庭は従来の料金プランを続けたほうがお得になります。一方で8000円から1万7000円までの方は新しいスタンダードプランに移っていただいたほうががお得。さらに電気をたくさん使うご家庭……だいたい月に1万7000円以上の場合は新しい「プレミアムプラン」がお得になるという説明をしています(→東電の新料金プラン詳細)。

――多くのプランで採用している「スマート契約」についてですが、固定だった基本料金が毎月変動するというのは大きな変化だと思います。従来の契約との違いを教えてください

河田氏:今までの契約は「ブレーカー契約」といいます。例えば「50Aならいくら」という形で基本料金が決まり、その上に使用量に応じた電力量料金などがプラスされます。一方の「スマート契約」は、より電気の利用実態に即した形で基本料金が決まります。

スマートメーターの例

 電力小売自由化に伴い、電力会社を切り替えたり、新しい料金プランに移行した家庭は、すべて「スマートメーター」に切り替わることになりますが、このスマートメーターでは「30分値」、つまり30分ごとの電気使用量を確認することができます。これを利用して毎月、過去1年間をさかのぼり、最も使用量が多かったところ(ピーク)を基準にして基本料金を算出するのがスマート契約です。例えば7月なら、7月から過去一年間(前年の8月から今年の7月まで)のデータを参照し、1月に5kWというピークがあったとすると、それを基準にして7月の基本料金が決まります。

基本料金は契約電力によって決まるが、スマート契約ではスマートメーターで計測した過去1年間(その月とそれ以前の11カ月)の各月のピーク電力のうち、もっとも大きい値を契約電力とする(出典:東京電力)

――実際の電気代は別として、個人的にはピークを基準にされると高くなるような気もします。なぜ、このような契約形態ができたのでしょう

花尾氏:実は、工場や店舗向けの高圧電力では一般的な契約形態なんです。今回、初めて一般家庭向けの低圧契約に採用されました。

広報:ピークを基準にするということは、うまくコントロールすると(=ピークを抑える)電気料金を抑えることができます。発表時にも高圧電力をご存じの方には「面白い」「よく導入した」といった評価をいただきました。

――確かに面白いですが、工場などは電力需要が予想しやすく、またピーク対策を行うシステムもあるはずです。一般家庭では個人の節電意識に頼ることになり、なかなか難しいのではないでしょうか?

広報:確かに「難しい」という声もあります。スマートメーターに切り替わっていない状況では、料金が予想しにくいのも事実でしょう。

――生活の中では消し忘れなど予定外の電気を使ってしまう時もあります。すると、その“失敗した30分間”を1年間も基準に適用されることになり、年間を通してみると従来より電気料金が高かった、という可能性もあるのではないですか?

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