均一化するドコモ、au、ソフトバンクの冬モデル――差別化のポイントは?:石野純也のMobile Eye(9月29日〜10月10日)(2/2 ページ)
この2週間は各社から新製品や新サービスの発表が相次いだ。ドコモが9月30日に冬春モデルを発表し、その翌日にソフトバンクモバイルがXperia Z3を発表。Z3は3社から出そろった。また、Huaweiが発表したSIMロックフリースマホ「Ascend Mate7」にも注目したい。
キャリアアグリゲーション対応のフラッグシップモデルを投入するHuawei
こうした中、一足先にドコモのLTE-Advancedを体感できる(可能性の高い)端末が12月に登場する。Huaweiの「Ascend Mate7」だ。Ascend Mate7は、Huaweiのフラッグシップモデルとして、ドイツ・ベルリンで開催されたIFAで発表されたファブレット。6型のディスプレイを搭載し、背面に指紋センサーを備えた高機能端末だ。
6型ながら、ベゼルは2.9ミリに抑えられており、「筐体全体に6型のディスプレイが広がる。そういった感覚を与える端末」(ファーウェイ・ジャパン 端末統括本部 プロダクトセンター 商品企画部長の吉本晃氏)になっている。背面には金属素材を採用。カーブしており、手にフィットするデザインに仕上がっている。
ネットワークは、LTEのCategory6をサポート。これは、「弊社で投資したHiSilicon社が業界初でCategory6をサポートした」(吉本氏)ためで、通信機器ベンダーとしてもシェアの高いHuawei端末ならではの優位点といえるだろう。
実際、サポートするLTEの周波数帯も非常に広く、2GHz帯、1.9GHz帯、1.8GHz帯、AWS(1.7/2.1GHz帯)、850MHz帯、2.6GHz帯、900MHz帯、800MHz帯(Band19)、800MHz帯(Band20)、2.3〜2.4GHz帯の10バンドに対応する。SIMロックフリー端末として投入されるが、ドコモとソフトバンクなら、ドコモの1.5GHz帯を除くすべての周波数帯でLTEが利用できるというわけだ。
キャリアアグリゲーションにも対応しており、Huawei関係者によると「1.8GHz帯と800MHz帯で利用できる」とのこと。先に述べたように、ドコモは東名阪限定で1.7GHz(1.8GHz帯)と800MHz帯のキャリアアグリゲーションを開始する予定だ。ネットワーク側の準備が整った段階で、Ascend Mate7もこれを利用できるようになる可能性は高い。
もちろん、SIMロックフリー端末のため、キャリアの保障は受けられない。何らかの事情でネットワークに接続できない恐れもあるため、動作検証を待ってから購入した方がいいだろう。
Huaweiの発表を取材し、改めてドコモのラインアップを振り返ると、やはりネットワークサービスと端末の歩調が合っていなかったところが非常に残念だ。Ascend Mate7がメーカーからSIMロックフリー端末として、ネットワークが対応するより先に発売されてしまうところにも、時代の流れを感じる。とはいえ、ネットワークを進化させることができ、それに合った端末を提供できるのはキャリアの大きな強みだ。グローバルメーカーの端末が勢いを増し、大手キャリアで扱う端末が均一化する中、差別化の武器となるはずのネットワークに端末が対応していないのは、ややちぐはぐな印象を受けた。
関連キーワード
華為技術(Huawei) | LTE(Long Term Evolution) | Ascend Mate 7 | NTTドコモ | 指紋認証 | SIMロック | SIMロックフリー | キャリアアグリゲーション | 差別化 | IFA | LTE Advanced | ソフトバンク
関連記事
- 「石野純也のMobile Eye」バックナンバー
- LTE-Advanced対応ルーターも:ドコモ、2014-15冬春モデルを発表――Z3/Z3 CompactにNote Edge、WQHD液晶のARROWS NXや“アナ雪”スマホなど
ドコモは、「Xperia Z3/Z3 Compact」や「GALAXY Note Edge」などのスマホ7機種や、LTE-Advanced対応のモバイルルーター2機種を含む、2014年冬-2015年春の新モデル16機種を発表した。 - Z3相当の機能をコンパクトなボディに凝縮――「Xperia Z3 Compact SO-02G」
幅65ミリのボディに4.6型HDディスプレイを搭載したハイスペックなコンパクトスマートフォン「Xperia Z3 Compact SO-02G」が、ドコモから11月中旬に発売される。【画像追加】 - ソフトバンクモバイルが「Xperia Z3」を11月下旬以降に発売
ソフトバンクは、「Xperia Z3」を11月下旬以降に発売すると発表した。ソニーモバイルのスマートフォンを初めてラインアップする。 - キャリアロゴなし:ソフトバンクの「Xperia Z3」を写真で速攻チェック
ソフトバンクモバイルが発表したことで、3キャリアから発売されることとなった「Xperia Z3」。“ソフトバンクモデル”の実機を触ってきたので、さっそく写真で見ていこう。 - GALAXY WORLD TOUR 2014 TOKYO:サムスンが「GALAXY Note Edge」を世界で最初に日本で発売する理由
サムスンが「GALAXY WORLD TOUR 2014 TOKYO」を開催し、国内で「GALAXY Note Edge」などの新モデルを披露。Note Edgeを世界で最初に市場投入する理由などを説明した。 - ドコモ、2015年3月から下り最大225Mbpsの「LTE-Advanced」を開始
下り最大150Mbpsから225Mbpsへ――。ドコモが15年3月から「LTE-Advanced」を導入する。複数の周波数帯を束ねる「キャリアアグリゲーション」により、下り最大225Mbpsを実現する。 - 下り最大300Mbps:Huawei、6型+8コアのSIMロックフリースマホ「Ascend Mate7」を12月に発売
ファーウェイ・ジャパンが、6型フルHDディスプレイにオクタコアを搭載したハイスペックなスマートフォン「Ascend Mate7」を、12月に発売する。 - CEATEC JAPAN 2014:大きいけど軽くて薄い――「Ascend Mate7」をHuaweiブースで触ってきた
Huaweiの最新スマートフォン「Ascend Mate7」は、スペックの高さや画面サイズの大きさも際立っているが、思いのほか軽くて薄かった。CEATEC JAPAN 2014のHuaweiブースで実機を展示しているので、ぜひチェックしてほしい。 - 石野純也のMobile Eye(9月16日〜26日):ターゲットは先進層――KDDIに聞く「Xperia Z3」「GALAXY Note Edge」投入の狙い
iPhone 6/6 Plusが発売され、それ以外の秋冬モデルの発表でいち早く名乗りを上げたのがKDDIだ。スマホは「Xperia Z3」と「GALAXY Note Edge」、タブレットは「GALAXY Tab S」をラインアップする。これらのモデルを投入する狙いをKDDIに聞いた。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.