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» 2010年02月02日 22時54分 UPDATE

「うれしくて仕方がない」──孫社長が語る、Web的なその理由

「きょうはうれしくて仕方がない」──好決算の説明会をこう言って切り出した孫社長が語るその理由に、アナリストたちは拍子抜けしたかもしれない。

[ITmedia]
photo 孫社長

 「きょうはうれしくて仕方がない」──ソフトバンクの孫正義社長は、2月2日に開いた2009年4〜12月期の決算説明会をこう切り出した。どんなトピックについて語るのだろうか? 耳を傾けた証券アナリストや一般メディアの記者は、孫社長が語ったその理由に拍子抜けしたかもしれない──「決算説明会をTwitterとUstreamでライブ中継するからだ。世界初かもしれない」

 連結売上高が2兆円を超える上場企業の社長の言葉だ。都内の会場に詰めかけたアナリストとジャーナリストにどれほどのインパクトがあったのかは不明だが、午後4時半からの説明会に先立ち公表した米Ustreamへの出資は、Twitterを中心としたネット上では大きな「サプライズ」として受け止められた(ソフトバンク、Ustreamに18億円出資)。

 Ustreamは同名のライブ動画配信サービスを運営しており、iPhoneなどを利用して「誰でも放送局になれる」のが特徴。昨年12月の月間視聴者数が5000万人以上に上るなど、ユーザー数が急拡大している。

 ソフトバンクは1月29日払い込みで2000万ドル(約18億円)を出資、Ustream議決権の13.7%を取得。今後、オプションを行使する形で追加出資し、最終的に合計7500万ドルで議決権の30%強を取得、筆頭株主になる見通しだ。

photo Ustreamによるライブ中継

 孫社長は決算説明会の時間を割き、Ustreamへの出資について説明した。「Ustreamの何がそんなにすごいのか。従来のテレビは電波帯域から局の数も限られ、送信のための大きな設備を持つなど、重装備になってしまうが、Ustreamは全ての人がメディアになる」

 そしてTwitterを引き合いに出す。「文字がTwitterだとすれば、生放送はUstream。Web2.0時代の新聞がTwitterに相当するとすれば、テレビ局がUstreamだ」

 昨年末からTwitterでつぶやき始めた孫社長。決算説明会の直前には、Ustreamへの出資を知ったTwitterユーザーから「Ustream専用スタジオが欲しい」との要望を受け取り、「了解。作りましょう!!」と即決する一幕もあった(孫社長「Ustreamスタジオ作る」 Twitterで即断)。

photo Ustream画面は会場の最前方、決算説明資料を映すスクリーンの横に置かれた

 決算説明会はTwitterとUstreamで生中継。会場前方ではプレゼンテーション資料用とは別に、Ustreamによる中継とTwitterでの反応を映し出すためのスクリーンが設置されるという前代未聞の説明会になった。孫社長が発言するたび、最前方のスクリーンではその場にいないユーザーによるTwitterコメント(#sbIR3Q)が更新されていく。Ustream中継の視聴者は6000人程度に上ったもようだ。

 同社の決算説明会は、従来から同社サイト上でのストリーミングでライブ配信されていた。だがTwitterとUstreamによるライブは新しい意味があるという。「まったく新しい時代を直接感じて、新しいコミュニケーションのあり方を体験できる。うれしくて仕方がない」

 「Twitterでつぶやいた直後、韓国語や中国語、英語でコメントが瞬時に届き、Twittbirdでワンタッチで翻訳して読むことができる。時間と距離、国境の壁を越えて人々とつながり合える喜びを感じている。この一瞬を体験できることを一番うれしく思っている」

 「双方向でつながりあえる。この興奮はすごい」

photo 自らiPhoneによるライブをデモ

 ビジネスとしてのUstreamでは、ライブ中継という「1ユーザー当たりの利用時間が長く、注目度が高い」というコンテンツの特長を生かし、まずは広告による収益拡大を図っていく。その上で「Ustreamの特徴はTwitterと同様の双方向性にあり、トランザクションによる収益があるだろう」と見て、「詳細はまだ言えないが、準備をしている」という。

 携帯電話向け動画配信を活用したお笑いコンテンツ「S-1バトル」の年間チャンピオン大会を3月に日本テレビ系で放送する予定だが、Twitterによるライブ配信のほか、Ustreamも何らかの形で連携したいという。

利益は過去最高を更新

 ソフトバンクの2009年4〜12月期連結決算は、営業利益が前年同期比33.4%増の3663億円になるなど、営業益、経常益、最終益とも4〜12月期としては過去最高を更新した。

 売上高は3.2%増の2兆453億円。携帯電話契約数と端末出荷台数の増加から、移動体通信事業の売上高が1134億円増加したことが寄与した。固定と携帯で設備使用料が減ったことや、携帯で与信審査の強化により貸倒関連費用が減少、営業益を押し上げた。経常利益は61.1%増の2811億円、純利益は63.0%増の948億円だった。

 同時に、来期(2011年3月期)の連結営業利益予想は5000億円になる見通しだと公表した。今期見通しの4200億円から19%増となるが、孫社長は「ARPUを保ちながら、増加した契約者からの収入がきいてくる」と自信を見せた。

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