米Intelは社内システムをWindows 7と64ビットコンピューティングに移行させる計画を長年温めてきたが、Intelのエンジニアが2月24日、同社のOpen Port IT Communityブログに投稿した長文コメントによると、この計画の実現には大変な労力が必要とされるようだ。
Intelは2009年10月にリリースされたWindows 7をセキュアかつバグの少ない方法で社内に展開すべく、Microsoftの開発者支援プログラムTAP(Technology Adopter Program)を通じて、同社とパートナー関係にある。両社はWindows 7リリースの何カ月も前から協力し、新OSの処理能力とバッテリー駆動時間が1つ前のバージョンであるWindows Vistaと比べていかに優れているかをアピールしてきた。2008年、IntelがWindows Vistaの社内導入を見送るとの決定を下したことはよく知られた話だ。
その後、2009年7月のIntel Technology Summitにおいて、Intelの広報担当者はeWEEKの取材に応じ、同社が既にWindows 7の社内導入に向けて取り組みを進めていることを明らかにしている。
導入は計画どおりに進んでいるようだが、Intelの上級システムプログラマー、ロイ・ウブリー氏はブログにコメントを投稿し、「Windows 7とアプリケーションの互換性の問題がまだ今後克服すべき大きな課題として残っている」と述べている。
同氏によると、最大の問題はユーザーアカウント制御(UAC)に関するものだという。おそらくUACが原因で、ユーザーに警告を出さないようになっているアプリケーションがエラーメッセージなしにシャットダウンしてしまうというのだ。この問題について、Microsoftはユーザーにアイコンを右クリックして「Run as Administrator(管理者として実行)」を選択してもらい、アプリケーションをフル管理者権限で実行できるようにするという方法で対処したという。
またWindows 7への移行の一環として64ビットコンピューティングにアップグレードするというIntelの決定に伴い、さらに別の問題も生じているようだ。
ウブリー氏はブログで次のように述べている。「ほかにも、64ビットコンピューティングへの移行に伴い、アプリケーションの互換性をめぐる重大な問題が幾つか発生している。最大の問題は、16ビットのアプリケーションがもはやサポートされないという点だ。それほど大きな問題には見えないかもしれないが、多くのレガシーアプリケーションは今でも、当社のように古いOSのサポートを必要とする環境に存在している。その上、多くのアプリケーションは16ビットのインストーラでパッケージングされている」
さらにIntelは、Internet Explorer(IE)8の使用に伴う問題にも直面している。「IE 8にはIE 7の互換モードがあるため、ある程度、問題は解消されるが、中にはIE 6を必要とするアプリケーションもある。こうした問題にも対処しなければならない。ほかにもOffice Web ComponentやIEプラグイン、Javaのバージョンなどに関連した問題が残っている」とウブリー氏。
「つまりこれがどういうことかと言うと、Windows 7のアプリケーション実行環境を整えるためには相当の労力をつぎ込む必要があるということだ」と同氏。ただし同氏は太字で追記のコメントを掲載し、次のようにも述べている。「どんな問題があるにせよ、社内ではWindows 7への移行が着々と進んでおり、完ぺきな成功を期待する当社とMicrosoftの気持ちに何ら変わりはない」
IntelはWindows 7への移行によって、向こう3年間で1100万ドルの経費を削減できると見込んでいる。
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