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「たいへんな所に来ちゃった」 はてなからグリーに移った伊藤直也さんに聞く(3/3 ページ)

» 2010年09月07日 18時33分 公開
[岡田有花,ITmedia]
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 インターネットが本格的に広がり始めて10年ぐらい経った。当初ネットが盛り上がったとき、「あれもできる、これもできる、こんなに世の中変わるはず」と言われたが、実際、僕らのようにコンピュータの仕事をしている人以外は、検索とネットショップと携帯ゲームとToDo管理とSNS――両手で数えられるぐらいの体験しかしていないと思う。

 「インターネットって本来こういうことができたはずだよね」というのがまだまだ全然届いていないと思う。それを1つ1つ補っていって、世の中の人がみんながネットの可能性を認識できるぐらいの規模のものを作って次のステップに進み、10年、20年後に振り返って「俺はあれとこれを補完した」と思いたい。

 特にネットはコミュニケーションはまだまだかなという気がしている。ブログやTwitterが出てきて、チャットのようにも使えるようになったとはいえ、身近な人に伝えたいことがすぐに伝わるようなコミュニケーションできているかというと、そうでもない。

 ブログが流行った時「テキストコミュニケーションはブログで決まり」と思ったが、SNSが出て、「もうこれで決まり」と思ったらTwitterが出てきて、「もういいだろう」と思ったらFacebookが出てきて……。「もういい」と思っていても、必ず次が出てくる。それが5年前、10年前から明確に見通せることはないと思うが、「まだまだ足りていない」という感覚を持っていれば、何か出てきた時に、何か思いつくかもしれない。

 iPhone、Androidがここ数年で出てきたように、時代背景によってできることは変わる。その中ですきまのチャンスを見付けて、そこから切り開いていく感じかなと思う。

「Web業界が産業として成熟してきた」

田中 スマートフォン対応しながら国際版も作り、1億人のユーザーを国内外で作るのが、グリーの直近の中間目標。月に1回の全社会議では、1億人まであと何人かを数えている。この5〜6年で、どんな困難もなんとかなると分かった。1億人超えるとか、世界に認められる会社にしたいなど夢さえあれば、今は想像できないことも、将来には実現できると思う。

伊藤 GREEは驚くほど少数精鋭で、人が足りなくて困っている。人から言われたアプリを何となく作るのではなく、自分たちが使いたい、使ってもらいたいものを作れる会社。「この人この会社にいたんだ」というような有名な技術者もいて、レベルの高いエンジニアと仕事して成長していける。エンジニアでキャリアに迷っている人がいれば、飛び込んで来れば成長できると思う。大変だが。

田中 5年後、10年後のネット業界を考えると、日本発・グローバルで大きく成功するサービスを作らないと、日本のネットを作る人の元気がなくなっちゃう。シリコンバレーは世界選抜戦で戦っている。僕らも日本選抜としていいサービスを作って、世界で競争できるレベルに達しないといけない。

伊藤 僕は技術者としてはまだまだで、自分より優秀な人がいっぱいいるのに、「日本選抜」と言われたり、僕の転職のニュースが「Yahoo!トピックス」に載ったりと、自分の評価と世間の評価のギャップが大きい。ただそのギャップを埋めるので必死でやってきてそれなりにスキルを伸ばしてきたところもあるので、期待に応えられるように頑張ろうと思う。

 ゲームの世界はディレクターの移籍や転職が注目されるように、僕の転職がニュースになるのもWeb業界が産業として成熟してきたことの裏返しだと思う。Webサービス開発者のプレゼンスが上がってきて、世間的に認められるようになればいいと思う。

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