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甘いミカンにITを 栽培にスマホ活用、富士通が有田で実験

» 2011年07月07日 20時41分 公開
[本宮学,ITmedia]
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 富士通は、高級ミカンの生産をITによって支援する実証実験を和歌山県有田市で始めた。同社のセンサー技術やクラウド技術などを活用し、これまで大量栽培が難しかった「味一みかん」の栽培量拡大と、果樹園で働くベテラン従業員から若手への技術承継を目指す。

 実験では、農地に設置したセンサーで日々の気象データや土壌環境データを取得。また従業員に配ったスマートフォンによって、日々の作業記録や、樹木1本ごとの育成データを登録する。従業員はPCやスマートフォンからデータにアクセスすることで、その場その時で必要な作業を確認でき、栽培の効率化を見込む。

photophoto 栽培データなどを共有できる(写真=左)ほか、1本ごとの育成状況を確認できる(写真=右)

 従業員用のスマートフォンアプリは今回の実験のために富士通が開発した。全従業員の作業記録を記録して共有できるほか、写真の投稿などによって、それぞれにユニークIDを付与した5000本の樹木の育成状況や病害虫の発生状況を管理・共有できる。同社の岡田昭広 クラウドビジネスサービス本部長によると、「アプリは感覚的に操作できるため、ベテラン従業員やパートの女性でも簡単に使いこなせる」という。

photophoto 気象データなどから導かれた満開日の予測(写真=左)、病害虫の発生日予測(写真=右)

 実験に用いる「味一みかん」は、糖度12%以上の限られたミカンだけにその名称が与えられるブランドミカン。栽培に成功するためには厳しい土壌管理やベテラン従業員による熟練の技術が必要だった。

 実験に協力する早和果樹園の秋竹新吾社長は、「当社が栽培しているミカンのうちこれまで25%程度だった味一みかんの比率を、(ITの導入によって)今後70%まで増やしていきたい」としている。

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