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PayPal、実店舗へ進出オルタナティブ・ブロガーの視点

» 2012年06月19日 15時18分 公開
[渡辺泰宏,ITmedia]

(このコンテンツはオルタナティブ・ブログ「太平洋の向こう側」からの転載です。エントリーはこちら。)


 1998年に設立されたオンライン決済サービス会社PayPalは、eBayでの決済に広く利用され、2002年にeBayに買収された。

 クレジットカードと銀行口座をPayPalに登録すれば、オンラインでの決済がPayPalアカウントだけで可能になる。クレジットカードの入力を必要とせず、実際のお金の流れをPayPalが中に入って行うので、eBayでの未知の人との決済や、無名E-Commerce企業との決済時の不安感を拭う。

 アクティブユーザー1億1000万人を抱え、まさにEコマースの成長を決済の側面から支えてきたPayPalが、今度は実店舗での決済に進出している。

 あらかじめウェブ上のPayPalに登録し暗証番号を取得すると、「1 PayPalカードと暗証番号入力による決済」「2 電話番号と暗証番号入力による決済」の2種類が可能となる。電話番号と暗証番号入力による決済は、クレジットカードや現金やスマートフォンをまったく持ち歩かなくても買い物できる。

 クレジットカードやデビットカードなどの利用によるアカウント盗用の心配もなく、また電子レシートがPayPalアカウントに送付されるので、レシート用紙の節約にもなる。米国で広く受け入れられている返品に関しては、PayPalアカウントから電子レシートを印刷して持参すれば可能である。

 財布など何も持ち歩かなくても買い物できるのはとても魅力的で、他の小売店などで展開され始めると、利用者はかなり増えることだろう。ただし、10桁の電話番号と4〜8桁の暗証番号を入力する際、レジの近くにいる人が覗き込んで最大18桁の番号を覚えてしまったら悪用される可能性はあり、ハイテク以前のセキュリティが万全とは言えそうにないかもしれないが……、入力を見てぱっと18桁を覚えられる人はそうそういないだろう。


 PayPalはさらに、前回ご紹介したSquarer同様、スマートフォン接続のカードリーダーとappを提供して個人企業などのクレジットカードでの決済を可能にする「PayPal Here」というサービスの展開も世界で進めている。現在は、米国、カナダ、香港、オーストラリアでパイロット展開しており、イギリスでも近々に開始される予定である。

 ところで、今までPayPalは日本でなかなか浸透しなかったが、先月ソフトバンクとのジョイントベンチャーPayPal Japanを発表しており、今後日本でも急速に普及すると思われる。

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