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「紙とペンにかなり近い」無料手書きアプリ「Note Anytime」、MetaMojiから

» 2012年09月26日 19時51分 公開
[本宮学,ITmedia]
photo Note Anytimeの利用イメージ。会見ではWindows 8のプレビュー版とタッチパネル式ディスプレイを組み合わせてデモが行われた

 MetaMojiは9月26日、モバイル端末向け手書きノートアプリ「Note Anytime」を無料公開した。手書き入力のほか、画像やPDFファイルの読み込み、編集、書き出しなどにも対応し、プレゼン用資料の作成やメモ書きなど幅広い用途を見込む。

 タッチ操作で画面を拡大/縮小/回転しながら、手書きで文字や図形を入力できるノートアプリ。指定した部分をグループ化して移動やサイズ変更を行ったり、文字サイズや色を変更したりできる。

 作成したノートは、端末内ストレージのほか「デジタルキャビネット」というクラウドストレージに無料で2Gバイトまで保存できる。クラウド上に保存したファイルはiPadやiPhone、Android端末、Windows 8端末など、さまざまなデバイス上から閲覧、編集できる。

photo 漢字仮名交じりで手書きした文章を変換しながら入力できる

 また、同社の手書き入力システム「mazec」との連携機能も有償アドオンとして提供する。同機能を使えば、漢字仮名交じりで手書きした文章を変換しながら入力できる。

 同日からiPad版を提供し、10月末にはWindows 8版、年末にはiPhone版、来春にはAndroid版も提供する予定。日本語や英語をはじめとする13カ国語でリリースし、「メモ書きから大学ノート、議事録など、幅広く世界中の人たちに使ってもらいたい」と浮川和宣社長は意気込む。

「紙とペンの世界にかなり近づいた」

photo 浮川和宣社長

 MetaMojiは、ジャストシステム創業者の浮川和宣氏が妻の初子氏とともに2009年に設立した会社。2011年2月にはmazecを応用したiPad向け手書きアプリ「7notes」を公開し、これまで「多くの人々に支持をいただいてきた」(和宣社長)という。

 一方、手書きを基にテキストを入力していく7notesでは「斜めの線は書けないのか」などの要望を受けることもあったという。そこで今回、「文字も絵も、スマートデバイス上でできるものを作ろう」という思いでNote Anytimeを開発、リリースした。

 新アプリで特にこだわったのは、手書きで入力する文字の美しさだ。中世ヨーロッパで広く使われていた“羽根ペン”をモチーフに、独自スタイルの「カリグラフィーペン」を開発。ユーザーが手書きした筆跡はそのままに、文字のスタイルを羽根ペン風に変えられるようになっている。

photophoto 羽根ペン風「カリグラフィーペン」と通常スタイルの比較(写真=左)、カリグラフィーペンはレオナルド・ダ・ヴィンチの手記なども参考にして「0から開発」(写真=右)

 画像はベクターデータになっており、保存した文字はタッチ操作で拡大縮小や変形しても、画質が劣化することはないという。有償版の「カスタマイズカリグラフィーペン」を使えば、ペンの角度など細かいパラメータも調整できる。

photo PDFファイルを読み込んで手書きで追記を加えられる

 「手書きの文字は1つの漢字につき、もともと2バイトの文字なら500倍の1Kバイトくらいになる。全ての文字データを1つのノートにまとめ、膨大なデータ処理を行うので、かなり紙とペンの世界に近づいたのでは」と和宣社長は話す。

 端末内のPDFファイルを読み込んで手書きで追記するアノテーションにも対応する。追記したファイルはJPEGやPDFとして再保存し、メールで送信したりTwitterやFacebookに投稿できる。PDFの読み込みスピードは「900ページのPDFでも4秒で読み込めるほど」という。

コンテンツは本や音楽だけじゃない

photo オプションアイテムの例

 Note Anytimeでは、イラストレーターなどが登録した絵や手書き文字、デザインされた用紙などをクラウド上から有料ダウンロードして利用できる。購入したアイテムはユーザー自身で編集を加えたりして利用できるという。

 「コンテンツといっても本や音楽だけじゃない。(Note Anytimeでは)イラストや、線や文字をきれいに書くためのパーツなど、いろいろなコンテンツが広がると思う。ユーザーがちょっと手を加えることを許してもらえるような、そんなコンテンツのあり方を提案したい」(和宣社長)

 誰かが公開したコンテンツを使って、他のユーザーが新しいコンテンツを生み出していけば「もっともっと新しい世界、わたしたちが今まで経験したことのないような新しいコンピュータの世界が開けるんじゃないか」と和宣社長は言う。同社は今後、有償/無償でオプションアイテムを提供してくれるパートナーを増やしていきたい考えだ。

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