ITmedia NEWS > セキュリティ >
セキュリティ・ホットトピックス

「SPE攻撃は北朝鮮が命令」と米当局が判断か、依然疑問の声も

» 2014年12月19日 07時45分 公開
[鈴木聖子,ITmedia]
SPEは情報流出について元従業員や家族にもメッセージを発信

 ソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(SPE)がサイバー攻撃を受けて大量の情報が流出し、北朝鮮パロディ映画「The Interview」の公開中止に追い込まれた事件で、米主要メディアは12月18日までに、この攻撃は北朝鮮政府の命令で実行されたと米当局が断定したと伝えた。ただ、有力な証拠などは示されておらず、北朝鮮の関与については依然として懐疑的な見方もある。

 米紙New York Timesは米政府高官の話として、SPEに対するサイバー攻撃には北朝鮮が「中心的に関与した」と米当局が結論付けたと報道。北朝鮮を公然と非難するかどうかについてはホワイトハウスで論議が行われているとした。

 米NBCも、米当局は北朝鮮がSPEに対する攻撃を命じたとの結論に達したと伝え、「北朝鮮政府とのつながりを発見した」とする米政府関係者の発言を紹介している。別の当局者は「このまま何もしないわけにはいかない」と語ったとされるが、具体的にどのような対応を検討しているのかは明らかにしなかったという。

 しかし、こうした見方に対してセキュリティ研究者のマーク・ロジャース氏は自身のブログで、北朝鮮の関与は「あり得ないと思う」との見方を示した。その根拠として、攻撃者が使っている英語の誤りには、朝鮮語使用者にありがちな典型的な誤りが一切なく、英語使用者が意図的に誤った英文を書いた疑いがあると指摘する。

 また、SPE攻撃に使われたマルウェアが朝鮮語のPCで作成されたと伝えられている点については、「むしろ北朝鮮である可能性は薄くなる。北朝鮮では伝統的な『朝鮮語』ではなく独自の方言を使っていて、伝統的な朝鮮語は禁止されている」と解説した。

 さらに同氏は、マルウェアを作成したのはSPEの社内構造に詳しく、主要パスワードを知っていた人物と思われることから、内部関係者の関与が疑われるとの見方を示した。当初の段階では映画「The Interview」には触れていなかったにもかかわらず、途中からメディアで北朝鮮の関与説が騒がれ始めたために、犯人が国家の仕業に見せかける狙いでこの説に便乗した可能性もあるとしている。

北朝鮮の犯行説に疑問の声も

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.