ITmedia NEWS > 企業・業界動向 >
ニュース
» 2018年08月03日 15時35分 公開

「どれを選べば……」を解決へ 複数のブロックチェーン基盤と同時に連携「ブロックチェーン・ハブ」、アクセンチュアが開発

アクセンチュアは、金融機関など向けに、複数のブロックチェーン基盤と同時に連携し、自社サービスに組み込める仕組みを開発した。ブロックチェーン基盤ごとの得手不得手を吸収し、適用範囲を広げる狙いがある。

[片渕陽平,ITmedia]

 アクセンチュアは8月3日、金融機関など向けに、複数のブロックチェーン基盤と同時に連携し、自社サービスに組み込める仕組み(名称未定、以下ブロックチェーン・ハブ)を開発したと発表した。ブロックチェーン基盤ごとの得手不得手を吸収し、適用範囲を広げる狙いがある。まず、ふくおかフィナンシャルグループのiBankマーケティングに提供するが、他の業種への展開も予定している。

photo
photo アクセンチュアの山根圭輔氏(テクノロジーアーキテクチャ グループ マネジング・ディレクター)

 Hyperledger fabric、Enterprise Ethereumなど複数のブロックチェーン基盤から、導入企業にとって最適なものを選び、接続を可能にするAPIを用意する考えだ。同時にCRMといった他システムとの連携や、ブロックチェーンへのアクセス権制御など、企業が実際に利用する際、必要となるブロックチェーン周辺の仕組みも提供する。

 アクセンチュアの山根圭輔氏(テクノロジーアーキテクチャ グループ マネジング・ディレクター)は「(ブロックチェーン基盤は)戦国時代を迎えている。どれを選べばいいのか、判断が難しい」と話す。企業が1種類のブロックチェーン基盤に特化し、自社のシステムに組み込んでしまう“密結合”だと、そのブロックチェーンの仕組みが陳腐化したときに“乗り換え”が難しい上、他の業務システムとの連携も困難になる——山根氏はそう指摘する。

photo

 こうした課題を解決するのが、同社のブロックチェーン・ハブという。「例えば、仮想通貨トークンとして、契約書類共有基盤として……など、さまざまな用途のブロックチェーン・エコシステムが登場してくる。それらを同時に連携してビジネスに組み込める仕組みが求められている」(山根氏)

 これまでもアクセンチュアは、こうした「ハブ」のサービスを提供している。さまざまな外部サービスのAPIを1つのプラットフォーム上で連携させる「ACTS」(Accenture Connected Technology Solution)や、複数のAI(人工知能)エンジンを組み合わせられる「AI HUB プラットフォーム」などだ。今回開発したブロックチェーン・ハブは、これらとも併用できる。「(導入企業が)疎結合によって、変化とスピードに強い業務システムを構築できる」(山根氏)

photo
photo

 まず、銀行残高などを確認できるスマートフォンアプリ「Wallet+」を展開しているiBankマーケティングが、ブロックチェーン・ハブを今秋から導入する。iBankマーケティングのポイントサービス「myCoin」を活用した新機能の実装を進める。

 現行のポイントサービスは、デビットカード決済時などにポイントを付与し、Tポイント、Pontaなど一部の事業者との連携に限られている。データの改ざんが難しいブロックチェーンの特性を生かし、事前に定めた条件に基づき、取引や契約を自動化するスマートコントラクトも活用することで、ポイント付与の機会や利用先(提携先)を拡充する。

photo
photo iBankマーケティングの永吉健一代表取締役

 例えば、ポイントの加盟店が「モバイルサイトの記事や広告を顧客が読むと、ポイントを付与する」といったルールを導入しやすくする。また、ポイントそのものに利用先や有効期限などの条件を定め、祖父が孫に「利用先と一度に使える金額をコントロールできるお年玉をあげる」といったサービスも想定する。

 iBankマーケティングの永吉健一代表取締役は「(グループ内で)2018年度内にポイントを発行、使えるサービスを展開する。さらには地域の事業者、商店街や自治体などにもプラットフォームを開放したい」と展望を話す。

photo アクセンチュアの中野将志常務執行役員(金融サービス本部 統括本部長)

 アクセンチュアの中野将志常務執行役員(金融サービス本部 統括本部長)は「まずは(同社の)クライアント企業向けに注力するが、提供先を制限するものではない」と説明する。

 「金融機関以外でも活用できる。例えば、中古車の購入者が、誰が運転していたか、どんな事故歴があるか全て分かる仕組みがあれば、適正な価格になる。(あらゆる)産業にブロックチェーンの仕組みが企業を越えて埋め込まれることで、消費者にとって適正なビジネスが生まれる」(中野氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.