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「TポイントとVポイント統合」に見る共通ポイントの今 競争激化で“疲れ”も?(1/2 ページ)

» 2022年10月04日 08時00分 公開

 既報の通り、三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)、三井住友カード(SMCC)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)、CCCMKホールディングス(CCCMKHD)の4社が、資本業務提携に関する基本合意書の締結と、両グループのポイントプログラム「Tポイント」と「Vポイント」の統合を発表した。なぜ統合に至ったのか、基本的背景と今後について簡単にまとめたい。

「Tポイント」と「Vポイント」が統合へ

Tポイント一強時代からマルチ化へ

 CCCとSMCCの両社の広報に確認したところ、ポイント統合など業務提携について現状で決まっているのは「2022年内に最終的な資本・業務提携契約を締結し、24年をめどに新サービスを提供する」という時間軸のみとのこと。なお、基本合意書の締結は9月30日のことだが、両社の話し合いは(詳細な時期はいえないが)今年夏にスタートしたということで、スピード合意だったことが分かる。

 どちらの会社が提携を持ちかけたかについてコメントは得られなかったが、ポイントの共同事業を行う新会社の出資割合がCCCグループ6割、SMBCグループが4割であることから、おそらくCCC側が主導権を握っていた可能性が高いとみている。

 スピード合意の背景にあるのは、ポイントプログラムを交えたポイント経済圏の現状に対する危機感にあると思われる。巷で噂されるTポイント危機説を受け、今年1月に本誌でこのあたりの最新事情についてまとめたが、共通ポイントの走りであり、かつては一強ともいえたTポイントが岐路にさしかかっているのは確かだ。

 記事中でも触れた大手加盟店のマルチポイントへの移行(本文では伏せたがその後に正式発表された『ENEOS』を指していた)もそうだが、筆者が聞いている範囲でほかにも1社ほどTポイントの主力だった大手飲食系加盟店で離脱の意向があるという。実際、この記事が出る少し前にはドトールのTポイントからdポイントへの乗り換えと、独自のロイヤルティカード導入が発表されており、経済圏の枠組みは縮小に向かっている。

 こういう話を書くと「Tポイント帝国の崩壊と戦国時代への突入」のようなイメージを抱くかと思われるが、そう単純な話でもない。

 Tポイントがかつての勢いを失った理由の1つに、「やる気のある企業には使いづらく、そうでない企業には使いこなせない」という共通ポイントならではの弱点が露呈したことにある。送客面でのメリットはあるものの、ポイントによる囲い込みや購買データ分析を考えたとき、必ずしも参加コストに見合ったリターンがあるとは限らないからだ。

 特に大手加盟店ほどその傾向は強く、10年以上の時を経て少しずつ離脱する企業が増えたという流れにつながっている。また離脱しないまでもマルチポイントに移行するのは、送客の面で楽天ポイントやdポイントといった“やや”新興で勢いがある勢力を取り込んだ方がメリットがあると判断したからだろう。

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