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「TポイントとVポイント統合」に見る共通ポイントの今 競争激化で“疲れ”も?(2/2 ページ)

» 2022年10月04日 08時00分 公開
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共通ポイント各社は疲弊している?

 筆者の推測だが、今回のCCCとSMBCの提携の背景は、この「マルチポイント」に1つ重点があると考えている。ベースとなる会員数や加盟店数は依然として大きいものの、送客面で新興勢力に比べて“弱い”と判断された部分をSMBCで補おうとしたのではないかというもの。

 Vポイント会員は2000万人だが、SMBCグループのカード会員そのものは5200万人存在する。Vポイント自体の知名度は他の共通ポイントに比べると低いが、ポイントの獲得や利用にあたっては全世界のVisa加盟店ネットワークが利用できる。クレジットカード会員自体は比較的アクティブな利用層と考えられ、相互乗り入れすることでTポイント経済圏には比較的“フレッシュ”な利用層が流れ込み、一方でSMBC側はCCCの加盟店基盤と新規カード会員獲得に向けたチャンスがやってくるという流れだ。

Vポイント会員数は2000万人だが、SMBCグループのカード会員は5200万人いる

 つまり、特定の経済圏で流動性が下がっていたところに、新しい風を吹き込んで再び活性化を狙うのが両社、特にCCC側の狙いなのではないかという考えだ。前段で「マルチポイント」としたが、筆者が知る範囲で今回合意に至った2グループの片方が似たような提携を他のポイント各社にも持ちかけていたと聞いている。

 共通ポイントはドコモ(dポイント)、KDDI(Ponta)、楽天(楽天ポイント)の他、最近Tポイントを離脱して新規参入したソフトバンク(PayPayポイント)など、携帯キャリア4社が手掛けている。4社は提携加盟店網を拡大しているが、一方でどれか1社が抜きん出るような状況でもなく、膠着状態に入りつつある。

 ユーザーはより良い条件のポイントプログラムを利用するし、マルチポイントを推進する加盟店側もこの状況をうまく利用しようとする。結果として体力勝負に晒された共通ポイント提供側では、経済圏による囲い込みと引き換えに疲弊していくという流れになり、将来的な競争からの離脱につながる可能性もある。

 クレジットカードのポイント還元キャンペーン連発と同様に、共通ポイントプログラムにおける過剰な還元を背景とした囲い込みはそう遠くない将来に限界を迎えるのではないかと筆者は考える。共通ポイントの提供側のみならず、“加盟店側の意向”で近年共通ポイントの還元率が低下する現象が増えているが、体力を削っての還元競争は互いを疲弊するだけであり、CCCとSMBCの提携も基礎体力を付けつつ、こうした悪循環に一石を打ちたいという思いがあるかもしれない。

 とはいえ、現状で両社の発表から見えるのはTポイントの延長であり、大きく状況を変化させるものではない。今後新ポイントプログラムについてどのような発表を行うのか、また今回の発表を競合他社はどう見るのか、その判断材料が揃う来年以降が共通ポイントプログラムの将来を占う分かれ道になるだろう。

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