3DlabsはPCI-Express X16に対応した新グラフィックスチップ「REALiZM」シリーズを発表した。今回発表された3Dlabs REALiZMシリーズは、上位モデルのPCI Express版と下位モデルのAGP 8X版でカード上に搭載されるハードウェアが大きく異なっている点が最大の特徴となっている。クロックスピードやパイプライン構成の違いだけではなく、ハードウェア上の構成に相違点があるのだ。
下位モデルのAGP版では、「REALiZM-VPU」が1基搭載され、これにビデオメモリが組み合わされている一般的な構成になっているが、上位モデルとなるPCI Express版では「REALiZM-VSU」と、その配下として2基のREALiZM-VPUが搭載される。
REALiZM-VPUは3Dlabsが開発した、AGP 8Xベースのグラフィックスプロセッサ(GPU)だ。総トランジスタ数は1億5000万個で、TSMCの非low-k/0.13マイクロプロセスファブで製造されている。
頂点シェーダエンジンユニットは1024個分の命令スロットを実装した頂点プロセッサ(頂点シェーダ)が16基搭載される。この頂点シェーダはテクスチャアクセス能力を持たないため、プログラマブル頂点シェーダ3.0仕様には対応しておらず、2.0仕様への対応に留まる。
ラスタライズエンジンは1クロックあたり、8×8ピクセルを発行。このとき、階層型Zバッファ処理による早期カリング処理も行われる。
ピクセルレンダリングパイプラインには最大32ビット浮動小数点実数(FP)演算精度のピクセルプロセッサ(ピクセルシェーダ)が48基搭載される。各ピクセルシェーダは、GeForce 6800シリーズの4倍に相当する262144命令までの実行に対応する。ピクセルシェーダは動的な条件分岐や反復制御など、Direct 3Dでいうところのピクセルシェーダ3.0仕様に対応する。
レンダーターゲット/フレームバッファとしてもFP32×4フォーマット、FP16×4フォーマットが利用可能。αブレンディングもFP16×4フォーマットまでならばサポートされており、GeForce 6800シリーズと同様にFP16×4バッファが透過的に利用できる仕組みとなっているようだ。
また、FP32×4バッファは自動的にFP16×4に丸められて表示フェーズへと受け渡される仕組みが採用され、トーンマッピング・シェーダを書かずとも、FP32×4/FP16×4バッファの直表示が可能となっている。3Dlabsクリフトン・J・ロビン氏(Brand Manager)によれば、この機能は単純なFP16×4からRGB10ビット整数への丸めこみによる表示だとのことで、丸め込みの基準やレンジを指定することはできないと見られる。
表示機能も非常に充実な仕様になっており、カードのブラケット面に取り付けられた2基のDVIコネクタは、それぞれでシングルリンク出力、あるいはデュアルリンク出力に対応する。2基のデュアルリンクを使った出力では3480×2400ドットをリフレッシュレート50Hzで表示可能。この解像度に対応したディスプレイとしてはIBMのT221があり、REALiZMシリーズの発表では、実際に3480×2400ドット表示における3Dグラフィックス表示のデモンストレーションをおこなっていた。
ビデオメモリはGDDR3 512MBにまで対応。またメインメモリ側をフレームバッファやテクスチャメモリとして透過的に利用できる仮想化ビデオメモリシステムにも対応しており、このシステムを利用した場合、VPU側から見れば16Gバイト分のビデオメモリが利用できる。
なお、VPUエンジン部のコアクロックとビデオメモリクロックは非公開となっている。
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