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2004年1月29日 00:00 AM 更新
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日本のホスティングサービスの未来を探る
遠い未来の話をしにくいIT業界だが、少なくとも現在のトレンドやニーズ、そして1年後くらいは想像の範囲内ではないだろうか。本特集最終回は、ホスティングサービスのトレンドを踏まえつつ未来を探る。
昨今のホスティングサービストレンド
前回の記事までで、深田氏が警鐘を鳴らしたい日本のホスティングサービスの問題点が明らかにされたが、昨今のトレンドはどうなっているだろうか。少々考察してみよう。
まず、サービスとして充実しつつあるのはセキュリティに関する面だろう。ここ1、2年のウイルス騒ぎもあり、メールスキャニングやファイアウォールサービスなど、セキュリティに絡んだ機能を基本サービスやオプションに追加するなどして、各社とも充実の一途をたどっている。
通常のインターネット接続サービス系でもアンチウイルス対策を施している昨今なので、ユーザーとしては是非ホスティングサービスを利用する際はしっかり検討したいところだ。
また、セキュリティはセキュリティでも、SSL認証サービスが、ブレイクしつつある。これまでSSL認証といえば、日本ではベリサインのサービスが目立っていた。だがベリサインのサービスは登記簿謄本をベリサインに送るなどの確認作業に時間がかかり、スピーディなサービス開始など望むべくも無い状況だった。
ところが米国ではベリサインに迫る規模のジオトラストの認証サービスが、国内外代理店を通して日本でも気軽に利用できるようになりつつあり、市場は一変しつつある。ジオトラストは世界中で代理店制をとっており、さまざまなルートからその認証サービスを利用できる状態になっている。ちなみに“日本ジオトラスト”という会社 が存在するが、ここは米国の子会社ではなく国内独自の企業であり、代理店の一つのようだ。
このジオトラストのSSL認証サービスの強みは、そのサービスインまでのスピードにある。具体的には、会社の登記簿謄本不要で、Whois情報だけで会社の存在を確認するという考え方だ。もちろんそれにより、個人でもSSL認証を利用することができるわけだ。しかもベリサインよりも格安な価格設定を行っており、代理店業務としても利益がでるため、今後さらにさまざまなホスティングサービスと連動して、サービスを気軽に利用できるようになるはずだ。
今後ECでの利用がさらに活性化するだろう。大きくインターネットの世界を変える可能性のある状況が進行しつつあるのだ。
本特集でとりあげたハイパーボックスでも、独自ドメインで利用できる米国ジオトラストの128ビットSSL認証の提供を始めている。
サービスの未来は、やはり簡単・手軽に
どのようなサービスでも、対象ユーザー層の拡大を考える上では当然、安くて、簡単で、手軽で、という方向性が王道だろう。インターネットの知識がまだあまりないユーザーでも、簡単でわかりやすいサービスが提供されるのであれば、そこでニーズが発生するはずだ。
自分の好きなドメインとメールアドレスを持ちたい、ホームページを数クリックだけで立ち上げたい、携帯と連動させたい、掲示板を作りたい。これらはこんにちようやくユーザーがある程度自由にサービスを受けられるようになっている。
だが、ここからまた少しだけ足を伸ばそう、と考えてしまった時に、急に大きな山が立ちはだかるのだ。
ドメインを変えたい、ホスティングサービスを受けている業者を変更したい、知人ともっと手軽にファイルを受け渡ししたい(しかもその人とだけ)、htmlの勉強なんかしたくないけれど、時折ホームページのデザインとかも変えてみたい、などなど、少しでもインターネットを利用しはじめると、いろいろと面倒なことが山積してしまう。
今日初めてPCを触ってインターネットに接続した人であっても、自在にサービスを受けることができるとしたら、恐らくインターネットはさらに普遍的で楽しいものとなるだろう。当然のことながら、今上記のように語った内容は、まったくと言っていいほど実現していない。
逆に言えば、これらのサービスがもっと自由に、気軽に購入できるようにしてもらえるのであれば、ホスティング業界の未来は明るいと言っていいだろう。
本特集でとりあげたハイパーボックスでも、かゆいところに手を届かせるためのサービスをいくつか行っている。他のホスティング業者からハイパーボックスへ移転した際のホームページデータを移転させるためのツールを提供しているほか、ファイルのアップロードやダウンロード、ユーザーアクセス権限の変更などをブラウザによる管理画面で行えるツールも用意し、使い勝手を高めている。また、オンラインで自分のホームページを見たままで編集できるツールとデザイン雛形を無料で提供している。
サービスの進化とインタフェースの進化
ホスティングサービスの究極の姿は、やはり特殊なツールを使用しない、ブラウザベースのインタフェースの提供だろう。現状でこれに勝るシンプルでわかりやすい方法はないのではないだろうか。
そしてさらに未来を想像してみよう。
携帯電話が普及したようにインターネットサービスが普及する未来。PCであろうが携帯であろうが、何がしかのインターネット接続機器を通して、独自ドメイン・ホームページ・各種cgiといったリッチサービスを気軽に使う時代となるだろう。
おそらく今はまだ想像もつかない新手のサービスが次々と登場するだろう。それらサービスも今よりわかりやすくなり、クリックやボタン一つでサービスを受けられ、そしてこれらのインターネットサービスを統合して人間に見せてくれる、エージェントサービスも出現するに違いない。
そのころには、インターネットサービスは、公共サービスの一部と化してしまうかもしれない。電気・ガス・水道などと同様に、社会生活の必須アイテムとなるだろう。ホスティング業界は、街のどこにでもいるガスサービス業者や上下水道サービス業者のような、普遍的な業界になるかもしれない。あるいは東京電力のような社会的影響力を持つ存在になるものも出るかもしれない。
本特集は今回を持って終了するが、少しでもよりよき未来を多くの人に想像していただければ幸いだ。
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[飯島俄,ITmedia]