価格低下と明るさ向上が進む直管形LED、最新製品徹底比較LED照明(1/2 ページ)

空調機器とは異なり、照明をLEDに入れ替えることによる節電効果は夏だけでなく、1年中期待できる。本稿では、多くのオフィスが使用している40形蛍光灯を直管形LEDランプに置き換えることを想定し、各社が発売している直管形LEDランプの特長を紹介していく。

» 2012年07月30日 08時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 現在、NECライティング、シャープ、東芝ライテック、パナソニック エコソリューションズ社、三菱電機といった大手家電メーカーが販売している直管形LEDランプは、日本電球工業会の「JEL801」という規格に準拠したものだ。

 JEL801準拠品の特長は2つ。1つ目は、ほかと間違えることがない独自の形の口金を備えていること(図1)。海外メーカー品を中心に、既存の蛍光灯の口金(G13型口金)を流用する品物が流通している。これらの製品は現在使っている照明器具を改造することでLEDランプを取り付けることができるが、改造の方法が製品によってさまざまだ。改造の方法を誤ると、点灯しないばかりか、事故につながる可能性もある。

図1 JEL801準拠品の口金。左側にある2つの口金から電気を通す

 一方JEL801準拠品なら、直管形LEDランプのために決めた新しい形の口金を備えている。ランプに給電する方法も統一しているので、事故の心配はない。

蛍光灯と変わらない光を提供する

 もう1つの特長は、「蛍光灯と見え方が変わらない光を発する」ように、性能要件を定めていることだ。JEL801規格が定めている性能要件のうち主なものは4つ。全光束、光を拡散させること、色の見え方、消費電力だ。

 全光束とは、ランプ全体が放つ光の量を指す。一般的な40形の蛍光灯の場合、全光束は2600〜2900lm(ルーメン)くらいだ。JEL801では、全光束は2300lm以上でなければならないとしている。

 光を拡散させることという条件は、蛍光灯と同じように横方向や上方向も照らさなければならないということだ。LED照明の光源であるLED素子の発する光は直進する性格があるので、天井に取り付ける照明にLED素子をそのまま使ってしまっては真下しか照らさないものになってしまう。

 JEL801ではランプ下方120゜の範囲に70%を超える光束を集中させてはならないと規定している。30%以上の光束を横や上に散らさなければならないのだ。この規定を満たすものなら、壁や天井も照らすので、蛍光灯と同様に光が拡散するように見えるはずだ。

 色の見え方という条件は、ランプが物体を照らした時に、その物体の色が人間にとって自然に見えるようにということを規定している。この条件は、Ra(平均演色評価数)という単位で表す。数値が大きいほど、色を正確に見せる光であることを意味する。現在普及している三波長発光形蛍光灯のRa値は80〜90。JEL801では、Ra値は80以上でなければならないとしている。

 最後の消費電力という条件は、33.3W以下でなければならないと規定しているが、一般的な製品の消費電力は25W程度で、規格の上限に近づくような製品はほとんど存在しない。この点は各社の製品の実際の消費電力を見たほうが良いだろう。

 安全に扱えて、蛍光灯と入れ替えるだけで以前とほぼ変わらない光を得られる。JEL801規格品は、細かいことを考えず、とにかくLED照明を導入して電力コストを下げたいという人にはうってつけだ。あとは、各メーカー独自の部分を見て、好きなものを選べばよいだろう。

照明器具の入れ替えが必要

 良いことばかりのように見えるJEL801準拠品だが、1つだけ欠点がある。既存の照明器具の流用が事実上不可能だということだ。JEL801準拠のLEDランプを使うには、専用の照明器具に入れ替えなければならない。ランプだけでなく、照明器具も購入しなければならないということだ。

 各メーカーの照明器具の価格を見ると、一般的な「逆富士形」(図2)と呼ぶ器具ならば、ランプを1本付けられるものも、2本付けられるものも1万5000円前後で手に入ることが分かる。これから紹介するLEDランプを比較する際には、この価格を意識してほしい。次ページでは、各社の製品の基本性能と特長を紹介していく。

図2 「逆富士形」の照明器具。ランプを1本付けられるものも、2本付けられるものも、価格はほとんど変わらない
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