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» 2012年08月07日 12時33分 UPDATE

連載/スマートメーターが起こす電力革命(3):電気料金がダイナミックに変化、電力による情報サービスも始まる

スマートメーターを設置するメリットは電力会社だけではなく利用者側にとっても大きい。節電によって電気料金を安くすることが従来よりも簡単にできるようになる。さらには電力使用量のデータを活用した新しいサービスが可能になり、高齢者の見守りにも応用できる。

[石田雅也,スマートジャパン]

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連載(2):「電力システムとインターネットが融合へ、カギ握るオープンな通信機能」

 今年に入って東京電力が電気料金の値上げを発表してからというもの、節電対策は電力不足の解消もさることながら、コスト削減策としての意味合いも大きくなってきた。今後ますます電気料金が上がっていくことは確実だが、その一方で電気料金のプランが多様化していく。利用者側の対策や工夫によって、電気料金を安くすることが可能な時代に入ったと言えよう。

 すでに各電力会社は時間帯別の料金プランなどを提供し始めており、そうしたプランの利用者の一部にはスマートメーターが設置されている。これから大半の利用者にスマートメーターが導入されていけば、時間帯別の料金プランのほかにも、電力の利用状況に合わせた各種の料金プランを実現することができる(図1)。

pricing.jpg 図1 スマートメーターによって実現できる新しい電気料金プランの例。出典:経済産業省スマートメーター制度検討会

 将来の可能性としては、電力の需給状況によって料金が変動する「ダイナミック・プライシング」の導入も考えられる。現在のスマートメーターの仕様では電力使用量を30分ごとに測定できるので、30分単位で料金が変わるプランを提供することも難しくない。

 例えば電力需要が大幅に増える夏の昼間であっても、12時〜13時は低めで、14時〜15時が最も高くなる。この2つの時間帯で料金を変えることができれば、電力のピークを平準化を促し、安い時間帯の電力を使う利用者にメリットが生まれる。ピークの平準化は電力会社にとっては燃料費などを節約できるため、最終的には電気料金の値上げ抑制につながる。

誰もが使う電力だから実現できるサービス

 スマートメーターが設置されると、電力使用量のデータを企業や家庭のBEMS/HEMS(ビル向け/家庭向けエネルギー管理システム)でも利用できる。そのデータをもとに、BEMS/HEMSから電気機器を制御し、太陽光発電システムや電気自動車と連携して蓄電する電力の量を最適化することなどが可能になる(図2)。

service1_ntt.jpg 図2 スマートメーターによって広がる家庭向けの節電・蓄電・発電支援サービス。出典:NTT

 さらに進んで、電力使用量のデータを使ったセキュリティサービスなども検討が始まっている。そのひとつに「高齢者見守りサービス」がある(図3)。スマートメーターが把握する30分単位の電力使用量のデータから、高齢者が住む家の状態を推測して、適切な対策を迅速に実行できるようにするものだ。

service2_ntt.jpg 図3 スマートメーターを使った高齢者見守りサービスのイメージ。出典:NTT

 電力の使用量が通常通りであれば、普通に生活ができていると判断できる。しかし通常と違って電力の使用量が極端に低いような場合には、何らかの異常が生じている事態を想定して、家族や自治体、セキュリティ会社などが電話で連絡をとったり家を訪問したりして状況を確認する。

 高齢者を含めて誰もが使う電力だからこそ実現できる新しい社会サービスである。このほかにもスマートメーターからの情報を使ったサービスは数多く登場してくるだろう。

 ただし電力使用量のデータは個人の毎日の生活状態を表す秘匿性の高いものであり、プライバシーに関係する。スマートメーターをつなぐ新しい電力ネットワークには十分なセキュリティ対策が不可欠で、この点を考慮してスマートメーターの仕様策定とネットワークの整備を進める必要がある。

 スマートメーターをめぐる次のトピックとしては、東京電力が2014年度から大量に設置するスマートメーターの仕様が2012年度末までに確定する。今のところ10月以降に仕様の最終案が公表される予定になっている。その時点で改めて仕様の詳細について解説する。

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