電気自動車と再利用蓄電池を組み合わせたV2Hシステム電気自動車

CEATEC JAPAN 2012では三菱自動車工業が、電気自動車「iMiEV G」の電力を住宅で利用する「Vehicle to Home(V2H)」システムのコンセプトを示すモデルを展示している。電気自動車から回収した使用済み蓄電池も利用するところが特長だ。

» 2012年10月03日 11時15分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 三菱自動車工業が展示しているモデルは「MiEV HOUSE」と呼ぶもの(図1)。2012年4月から三菱自動車工業の名古屋製作所で実証実験を続けている「M-tech Labo」の規模を小さくしたものだ。

図1 三菱自動車工業が展示している「MiEV HOUSE」

 M-tech Laboでは電気自動車(EV)iMiEV Gを5台、iMiEV Gで1年間使用したリチウムイオン蓄電池を5台分利用して、電力需要ピークを抑えている。蓄電池に加えて、出力20kWの太陽光発電システムも備えており、出力は合計で50kWとなる。今夏の名古屋製作所におけるピークシフトの結果については「まだ集計していないが、確実な効果が確認できている」という。

 今回展示しているMiEV HOUSEはiMiEV Gを1台と、使用済みのリチウムイオン蓄電池を1台分用意して、住宅でも使える電源とするものだ。太陽光発電システムも設置する。展示しているモデルは動作しないものだが、「V2Hシステムを作るなら、使用済みの蓄電池も組み合わせる可能性が高い」という。これはEVが走行している間も、住宅に蓄電設備を残すという考えからだ(図2)。

図2 iMiEV Gの使用済み蓄電池。EVが走行している間もこの蓄電池が住宅に残るので、蓄電設備を常時使用できる

 一般にEVの蓄電池は、蓄電容量が出荷時の7割程度になった時点で交換となる。一般的な使い方なら5〜6年程度で交換になるという。走行距離の問題を考えると、蓄電容量が7割まで低下した蓄電池は自動車では使いにくいものになるが、住宅用の蓄電池としては十分利用できる。

 例えばiMiEV Gが搭載する蓄電池の蓄電容量は16kWh。蓄電容量が7割まで低下したとしても11.2kWh。住宅向け蓄電池としては最大級の蓄電容量だ。ちなみに、説明員によると一般的な家庭で1日に消費する電力は10kWh程度だという。

 MiEV HOUSEは「あくまで可能性を示すもので、すぐに実用化できるというものではない」という。まずは名古屋製作所の「M-tech Labo」で実証実験を続け、2013年3月に実験結果をまとめる。「24時間施設向け電源として充放電を繰り返すと、どのように蓄電池が劣化するかという点や、ある程度充電したまま放置すると蓄電池の蓄電容量が減少していく『カレンダー寿命』の問題などを検証し、その後に製品化を検討する」としている。

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