家電に通信機能を持たせる「ECHONET Lite(エコーネット・ライト)」キーワード解説

消費電力量に応じて自動的にエアコンの稼働率を制御したり、照明を消灯するといったことができれば、今以上に節電ができるかもしれない。それを可能にするのが「ECHONET Lite(エコーネット・ライト)」という家電向け通信規格だ。

» 2012年12月07日 13時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 「ECHONET Lite」とは、家電の制御、運転状態や消費電力量の把握といったことをネットワーク経由で可能にする通信規格だ。日本の家電メーカーや通信会社、電力会社などが加入している「エコーネットコンソーシアム」が策定したもの。

 エコーネットコンソーシアムはもともと「ECHONET」という家電向け通信規格を策定し、普及を目指していたが複雑で利用頻度が低い機能が多く、通信路(LAN、電力線通信など)にどれを使うかというところまで規定していたので、使いにくいという声が多かった。そこで、利用頻度が低い機能を削除し、どの通信路でも使えるように改良したものがECHONET Liteだ。家電だけでなく、太陽光発電システムなどの発電機器や蓄電機器の制御、状態監視もできるようになっているところも大きな特長。

 現在のところはパナソニックや東芝ライテックがECHONET Lite対応のHEMSを発売している。対応する家電はまだ多いとは言えない。パナソニックや東芝からエアコンやエコキュート、電磁調理器などが登場しているくらいだ。

 対応する製品が揃ってくれば、家庭全体の電力消費量に応じて、さまざまな機器の運転状態を自動的に制御したり、停止させたりといったことが可能になる。遠隔地からスマートフォンなどで電力消費量を確認したり、機器を停止させるといったこともできる。

 太陽光発電システムや蓄電池、家庭用燃料電池が対応するようになれば、太陽光発電システムがあまり発電していないときに家庭用燃料電池を動作させたり、蓄電池の電力を利用するといった制御ができる。太陽光発電システムが多くの電力を発電しているときは売電するか、蓄電池に充電するかといったことを制御できる。これは、近隣の住宅の太陽光発電システムで発電した電力が送電線に大量に流れている時に役立つ。

 現在の太陽光発電システムはこのようなときは送電網を安定させるために発電を停止させるが、ECHONET Liteで太陽光発電システムと蓄電池を制御できれば、送電網に電力を流せないときには蓄電池に充電するということが可能になる。

 地域の電力需要が逼迫した時に、家電製品を制御して住宅全体の消費電力を抑えることも可能になる。ECHONET Lite対応スマートメーターが登場すれば、電力需要が逼迫していることを知らせる信号をスマートメーターが受け取り、HEMSに知らせて、HEMSが家電機器を制御して住宅全体の消費電力量を抑えるということが自動的にできるようになる。

 現在のHEMSは消費電力量の計測機能しか備えていないが、今後はECHONET Liteを利用して家電製品を制御する機能を備えたものが多くなるだろう。対応する家電製品も少しずつ増えていくはずだ。

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