住宅用は38円、非住宅用は36円に、2013年度の太陽光発電の買取価格法制度・規制

政府の委員会で検討が進められてきた2013年度の買取価格の最終案がまとまった。太陽光発電はシステムの価格低下を理由に、住宅用が38円/kWh、非住宅用はシステムの出力規模に関わらず一律で36円/kWhに引き下げる。風力をはじめ残りの4分野は従来の買取価格を据え置く。

» 2013年03月12日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 4月から適用する2013年度の買取価格の最終案がようやく固まった。3月11日の15時から開催した「調達価格等算定委員会」で委員長案が提示され、太陽光発電の買取価格は住宅用・非住宅用ともに電力1kWhあたり4円引き下げられる見込みだ。この案を経済産業大臣が受け入れれば正式に決まる。

 固定価格買取制度では発電に必要なコストをもとに毎年度の買取価格(法律上は「調達価格」)を見直すことが法律で義務付けられている。制度を運営する資源エネルギー庁が認定対象になったシステムの費用を調べた結果、太陽光発電に関しては制度開始前の想定よりも価格が1割程度下がったことから、それに合わせて2013年度の買取価格を約1割引き下げる。

 委員長案を見ると、出力規模が10kW未満の住宅用は1kWhあたり42円から38円へ、4円下げる。10kW以上の非住宅用も税抜価格で40円を36円へ、同じく4円安くする(図1)。それ以外の風力・地熱・中小水力・バイオマスの4分野に関しては、特に発電コストの低下が見られないため、2013年度も従来の買取価格を据え置く。

図1 2013年度の再生可能エネルギーの買取価格(委員長案)。出典:資源エネルギー庁

 太陽光発電のコストについては、非住宅用のうち10kW以上1000kW未満のシステムの価格が当初の想定よりも高い状態が続いているため、買取価格の引き下げは適当ではないとの見方があった。資源エネルギー庁が明らかにしたデータによると、10kW以上50kW未満で43.7万円/kW、50kW以上500kW未満で37.5万円/kWの費用がかかっている(図2)。

図2 10kW以上500kW未満の太陽光発電システムに必要な費用の平均値(対象は2012年10月〜12月に運転を開始した認定設備)。出典:資源エネルギー庁

 これに対してメガソーラーに相当する1000kW以上の場合は28.0円/kWまで低下しており、当初の想定値32.5万円/kWと比べて1割以上も安くなった。一方の500kW未満のシステムは逆に1割以上も高い水準にあるが、2014年1−3月の段階では30.1万円/kWまで下がることを見込んで、非住宅用は出力規模に関係なく一律28.0万円/kWを2013年度の買取価格の根拠にした。かなり乱暴な結論の出し方に見える。

 委員のひとりは10kW以上500kW未満を別区分にして2013年度の買取価格を決めることを提案したが、受け入れられなかった。その理由として委員会の資料では6つの点を挙げているが、1番目に書かれている以下の点が最も重要な判断材料になったものとみられる。

「非住宅用(10kW以上)の24年度調達価格の算定の際は、コストが低い1000kW以上の場合のコスト(32.5万円/kW)をそのまま算定の基礎として採用することで委員会として合意したものである」

 もともと出力規模によってコストに差があったにもかかわらず、制度を開始する際に非住宅用をひとまとめにした経緯があったため、その方針を変えるわけにはいかなかった、というのが実情のようだ。

 実際に高いコストでも導入件数が数多くあることを考えれば、問題はないのかもしれない。とにかく買取価格の引き下げが太陽光発電の拡大ペースを鈍らせないことを願いたい。

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