伸び悩むBEMSの補助金制度で、アグリゲータの2次募集を開始補助金

2012年度から総額300億円の国家予算で大々的に始まったBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の補助金制度が新たな局面を迎える。2年間に1万件の導入目標をクリアするため、BEMSを提供するアグリゲータの2次募集を実施して、10社程度を追加する予定だ。

» 2013年03月27日 15時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 BEMSの補助金制度が順調に進んでいないことは、この1年弱の申請件数を見れば明らかだ。運営を担当する環境共創イニシアチブ(SII)が集計した最新のデータでは、23社のアグリゲータが企業にBEMSを設置して補助金を申請した件数は合計3160件である(図1)。

 経済産業省が掲げた2年間で1万件の目標に対して3割強の状態で、各社の合計目標値6万5000件の5%程度にとどまっている。もともとSIIは開始後の状況を見てアグリゲータの入れ替えを実施する方針だったが、1年近く経ってようやく2次募集を開始した。

図1 アグリゲータ別に見たBEMS補助金の申請事業所数(2013年3月22日現在)と2年間の目標値。補助金を運営する「一般社団法人 環境共創イニシアチブ」による公表値

 2次募集にあたってアグリゲータの要件は当初と同じで、BEMSを1000件以上に設置できるか契約電力で5万kW以上に到達できるような事業計画を提出することである。4月10日まで応募を受け付け、10社程度を選考して5月中旬に公表する予定である。しかし10社も認定できるかは疑問だ。

 すでに1次のアグリゲータが開始から1年近くを経過しながら、思うように導入件数を増やせていない。現時点で100件を超えたのは23社のうち8社だが、その中の1社であるイーエムシーは先ごろ破産に追い込まれた。

 しかも補助金制度が2014年3月末で終了することから、2次のアグリゲータには残りの期間が1年もない。その間に1000件以上の導入は難易度が高い。

 一方で同じSIIが運営するMEMS(マンション向けエネルギー管理システム)の補助金制度が4月から始まる。1件あたりの規模がBEMSよりもはるかに大きく、しかも導入効果も明確であることから、MEMSのアグリゲータを目指す事業者が多くなる可能性がある。

 新たなBEMSアグリゲータとして、どのような企業が登場してくるか、注目が集まる。低迷する補助金制度を活発にするような成果を期待したいところだ。

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