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» 2013年04月18日 11時00分 UPDATE

自然エネルギー:「日本は成長市場」、明暗分かれる世界の再生エネ投資

再生エネルギーへの投資が過熱している、このような主張がある一方で、太陽電池の生産過当競争によって倒産する企業もある。果たして投資はどうなっているのか。米Bloomberg New Energy Financeの調査結果を紹介する。小規模太陽光が強く、日本は成長市場だという。

[畑陽一郎,スマートジャパン]

 米Bloomberg New Energy Finance(BNEF)は、2013年第1四半期(2013年1〜3月)における再生可能エネルギーへの投資額と、世界各地の投資傾向についての分析を発表した。全世界の総投資額は減少しているが、アジアと欧州の一部の国が好調だという。特に日本の小規模太陽光発電に勢いがあるという分析だ。

 2012年の総投資額は2687億米ドル(以下全て米ドル)であり、これは2004年の5倍以上に達している。しかし、ピークだった2011年の3023億ドルには及ばない。2013年第1四半期はさらに悪い。406億ドルという投資額は前年同期比22%減、前四半期比38%減であり、過去4年間のどの四半期よりも少ないからだ。それにもかかわらず今後は投資が回復し、2020年には投資額が倍増すると予測した。

 BNEFは今四半期に投資が減少した原因を4つ挙げた。第1に、これまで投資を引っ張ってきた米国とドイツというキー市場で政策の不確実性が表面化したことだという。米国では風力発電に対するPTC(生産税控除)制度が2012年末でいったん終了している。米国の風力発電ビジネスはこれまでも政府の支援策に極端に敏感だった。ドイツでは固定価格買取制度(FIT)の買取価格を遡及的に引き下げる政策議論が高まっている。

 第2の原因は比較的投資が良好な市場、例えばブラジルや中国で、投資の過熱が収まってきたことだ。

 第3の原因は多数の地域に影響し、本質的ともいえる。再生可能エネルギーの技術、材料コストが急速に下がっていることだ。特に太陽電池モジュールの影響が大だ。BNEFによれば、2013年3月時点で太陽電池モジュールの平均価格は出力1W当たり0.81ドルである。これは1年前の0.97ドルよりも2割近く下がっている。2008年初頭と比較すると81%の低下だ。BNFEのチーフエグゼクティブであるMichael Liebreich氏は発表資料の中で以下のようにまとめている。太陽電池コストが下がれば、導入される発電量(MW)は急速に増えていく、しかし、投資額はかえって減少してしまうのだと。

 第4の原因は季節要因だ。これまでの調査の結果、第1四半期は他の四半期よりも投資が弱くなる。投資機関が資金を年末に回収することが原因だ。

日本が強い、小規模太陽光が強い

 次にどのような技術に投資が集まっているのか、大規模投資にはどのような例があるのか、地域別の投資額はどうなっているか、BNEFの調査結果を紹介しよう。

 2013年第1四半期の総投資額406億ドルのうち、大規模風力と大規模太陽光に向けた投資額は193億ドルだった。前年同期比34%の減少である。今回の投資減少の比率とほぼ合致する数字だ。一方、1MW以下の小規模太陽光には185億ドルの投資が集まった。減少率は少なく、8%減にとどまっている。

 投資額が大きな上位3位のプロジェクトを以下に示す。1位の額が突出して大きい。

  1. ドイツの洋上風力(Butendiek Offshore wind farm)、288MW、19億ドル
  2. メキシコの陸上風力(Gas Natural Fenosa onshore Wind Farm)、234MW、3億9000万ドル
  3. 日本のメガソーラー(鹿児島七ツ島メガソーラー)、70MW、3億4500万ドル

 地域別では投資額が減少した米国、中国、欧州と、増加したアジア(中国、インドを除く)が明暗を分けた(図1)。赤系統の色は減少を、青系統の色は増加を表している。

yh20130418Bloomberg_graph_590px.jpg 図1 地域別の投資額(億ドル)。BNEFが公表した数字による。

 米国は前年同期比54%減(以下、前年同期比)の45億ドル。中国は15%減の88億ドルだった。アジアは47%増と全地域の中で最大の伸びを示し、101億ドルに達した。技術別では小規模太陽光が、国別では日本が貢献している。

 アジアへの投資に占める小規模太陽光は79億ドル、前年同期は50億ドルであり、著しい伸びを示している。アジア地域に含まれる日本への総投資額は82億ドル。日本の小規模太陽光は67億ドルであり、これは前年同期比で2倍に成長している。メガソーラーが注目を集めることが多いものの、日本の再生可能エネルギー向け投資は小規模太陽光が鍵を握っている。

 欧州は国ごとに様相が異なる。欧州全体では134億ドルであり、地域としては最も大きい。しかし投資額は減少傾向にあり、25%減だ。欧州最大のドイツは8%増加し、39億ドルだが、この数字には裏がある。投資額ランキング1位の洋上風力発電がそのうち19億ドルを占めているからだ。イギリスは1%増の18億ドル。

 悪化が著しいのがスペインであり、96%も減少した。1億ドル以下である。フランスは33%減の9億ドル、イタリアは61%減の25億ドルだった。

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