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» 2013年05月02日 15時00分 UPDATE

エネルギー管理:東京電力の決定で全国へ拡大、スマートメーターのシステム開発

スマートメーターは「次世代電力量計」とも呼ばれ、企業や家庭の電力使用量を自動的に検針して従来にないサービスを提供できる。東京電力はシステムの開発を東芝とNTTデータに委託することを決めた。2014年度から運用を開始する予定だ。同様のシステムは他の電力会社でも必要になる。

[石田雅也,スマートジャパン]

 日本の電力システムを変革するためにはスマートメーターが不可欠で、小売自由化や発送電分離もスマートメーターなしには実現できない。企業や家庭に設置したスマートメーターからのデータを電力会社が収集して管理するためのシステムも必要で、東京電力は東芝とNTTデータを主幹事会社(インテグレータ)に選んで開発を開始する。

 スマートメーターで必要になる中核のシステムは2系統ある(図1)。1つはスマートメーターからのデータを電力会社が収集するための通信システム、もう1つは収集したデータを集計・管理するための運用管理システムである。東芝が通信システム、NTTデータが運用管理システムの開発を担当する。

smartmeter_system_toshiba.jpg 図1 東京電力のスマートメーターを管理する中核システムの構成。出典:東芝

 東芝とNTTデータにとっては今回のシステム開発だけにとどまらない大きなビジネスチャンスがもたらされることになる。東芝が受託した通信システムはスマートメーター本体の通信機能まで含んでいるため、今秋に予定されているスマートメーターの競争入札でも有利になる。

 スマートメーターの仕様は概要が決まっているものの、詳細な仕様は未定の部分もあり、システム開発会社はいち早く自社製品に取り込める利点がある。さらにスマートメーターは企業や家庭にある電気機器を制御できることから、今後はBEMS/HEMS(ビル/家庭向けエネルギー管理システム)などと組み合わせたサービスを提供するうえでも重要な役割を果たす(図2)。

smartmeter_system.jpg 図2 東京電力のスマートメーターの主な仕様。出典:東京電力

 一方のNTTデータが受託した運用管理システムは東京電力の社内システムと連携するだけではなく、スマートメーターからの情報を使ったサービスを提供する各社のシステムにも接続する。すでにNTTグループはさまざまなサービスを企画していて、そのうちのひとつに高齢者見守りサービスがある(図3)。こうした新しい市場の拡大が期待できるわけだ。

smartmeter_service_ntt.jpg 図3 スマートメーターを使った高齢者見守りサービス。出典:NTT

 東京電力は2014年度からスマートメーターの設置を開始する予定で(図4)、それまでに主要なシステムの運用を開始する。2018年度までに設置台数を1700万台に拡大して、2023年度には2700万の全利用者に導入を完了する計画である。あらゆる企業や家庭とつながるネットワークができることになり、周辺には巨大な市場が誕生する。それだけに今回のシステム開発には数多くの企業が提案に参加した。

 東芝が受託した通信システムには33社が応募、NTTデータが受託した運用管理システムには27社が応募した。実際に提案書を提出したのは、それぞれ5社と8社だったが、落選した企業にとっては審査過程に不満が残りそうだ。結果を見る限りでは、最も順当な会社が選ばれた印象である。

smartmeter_schedule.jpg 図4 東京電力のスマートメーター導入スケジュール。出典:東京電力

 同様のシステムは東京電力以外の電力会社でも必要になるため、今後の受注競争においては東芝とNTTデータが断然有利になった。これまでのところ各電力会社はスマートメーターの仕様に関してはシステムの部分を含めて詳細を公表していない。本来はすべての電力会社で仕様を統一することが望ましく、それによってスマートメーターのコストダウンを図ることができ、全国一律のサービスも提供しやすくなる。

 おそらく水面下では電力会社間の話し合いが進んでいるはずで、できるだけ早く全国統一の仕様を公表すべきである。公正な競争条件のもとで数多くの企業がスマートメーターの製造やサービスの開発に取り組めるようにすることが利用者の利益につながる。スマートメーターが日本の電力システムをオープンな構造に変革する意義は大きい。

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