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» 2013年05月16日 09時00分 UPDATE

知らないと損する電気料金の仕組み(2):単価を安くする対策 「契約メニューを見直す」

電気料金は基本料金と電力量料金を組み合わせて計算する。従量制の電力量料金の単価は契約メニューによって違うため、利用状況に応じて最適なメニューを選ぶことが重要だ。このほかに燃料費の調整額と再生可能エネルギーの賦課金が上乗せされる。電力会社によっても大きな差がある。

[石田雅也,スマートジャパン]

連載(1):「基本料金を安くする対策」

 電気料金は毎月の使った分だけ高くなる。このような使用量に応じて加算する部分を「電力量料金」と呼び、「使用量」×「単価」で計算する。当然ながら単価が低いほうが電気料金は安くなるが、面倒なことに単価が4種類に分かれている(図1)。

ryokin_hokkaido.jpg 図1 電気料金の計算方法。出典:北海道電力

 最も大きな割合を占めるのが「電力量料金単価」で、これは契約メニューによって個別に設定されている。利用者が契約メニューを見直して安くできる部分である。

 2つ目は「燃料費調整単価」と呼ばれるものである。各電力会社が発電に使う天然ガスや石油などの燃料費は頻繁に変動するため、それに合わせて月単位で電力会社が調整している。

 残る2つの単価は再生可能エネルギーの買取に関連する上乗せ部分だ。「太陽光発電促進付加金単価」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」という長い名前の項目がある。「ふかきん」の漢字が違っているが、新しく設けられた後者の「賦課金」のほうが全国一律で税金に近い意味合いを感じさせる。

時間帯によって単価が3割以上も安くなる

 4種類ある単価のうち、利用者が選択できるのは電力量料金単価だけである。この単価は契約メニューごとに決められていて、時間帯や季節によって、あるいは平日か休日かによって細かく分かれている。

 家庭であれば生活パターン、企業であれば業務の状況に合わせて、より多くの電力を使う時間帯の単価が安くなるような契約メニューを選択することが望ましい。わかりやすい例として、東京電力が5月15日から家庭向けに導入した新しいメニューを見てみよう。

 どの電力会社でも家庭向けの標準メニューは「従量電灯」と呼ばれていて、電力量料金単価は使用量に応じて3段階で設定されている。一般の商習慣とは逆に、多く使うほど単価が高くなっていく料金体系だ。

 東京電力が新たに導入したメニューは4種類あって、時間帯や曜日によって安い単価を設定した(図2)。例えば「朝得プラン」は午前1時〜9時の単価が通常の従量電灯よりも3割以上安い代わりに、そのほかの時間帯は2割以上高くなる。夜間や土日の単価を下げたメニューもある。毎日の電気機器の使用状況によっては、従来よりも電気料金を安くすることができる。

jikanbetsu_toden.jpg 図2 契約メニューによる単価の違い(東京電力の家庭向け)

企業向けは家庭向けよりも単価が安い

 同様に企業向けでも時間帯や季節によって単価が大きく変わるメニューを各電力会社は用意している。工場が稼働する日時をシフトできる場合や、店舗が深夜営業の場合などは、単価の安い契約メニューを選択して電気料金を引き下げることが可能だ。

 企業向けと家庭向けでは単価に大きな開きがある。大量に電力を使う企業向けのほうが単価は安い。最近はマンションで各家庭の電力をまとめて契約する「高圧一括受電」と呼ぶ方式を選択するケースが増えてきた。企業向けの契約メニューである「高圧」の単価が家庭向けと比べて大幅に安いからだ。大きな電力をまとめて安く買って、みんなで分けるという発想である。

 同じような契約メニューでも、電力会社間では単価に差がある。小規模な商店・工場で標準的に使われる「低圧」の単価を比較してみると、最も安い北陸電力と最も高い東京電力では4割以上も違う(図3)。これだけ大きな差がついてしまうと、大量の電力を使う工場などを安い地域に移転させるような動きも増えてくる。

teiatsu_hikaku.jpg 図3 電力会社による単価の違い(小規模な商店・工場向けの「低圧」)

上昇する燃料費には利用者の打つ手なし

 電力会社による単価の差は、燃料費の点でも顕著になってきた。各電力会社が個別に設定する燃料費調整単価は毎月変動するが、この計算方法が複雑でわかりにくい。電力会社が発電に利用した燃料費を3か月単位で集計して、それをもとに単価を決めてから2か月後の料金に反映させる仕組みになっている(図4)。

nenryouhi_chubu.jpg 図4 「燃料費調整単価」の算定対象期間。出典:中部電力

 さらに厄介なことに、電力会社ごとに電気料金を改定する時点で「基準燃料価格」と「基準単価」を設定している。この基準値と実際の「平均燃料価格」との差をもとに「燃料費調整単価」を計算する。電力会社の料金改訂のタイミングがバラバラなため、基準値は大きく違ってしまう(図5)。

nenryouhi_tanka.jpg 図5 電力会社ごとの「燃料費調整単価」と関連する燃料価格

 ただし燃料費調整単価は利用者が契約メニューを選んで安くできる余地がほとんどない。大まかな仕組みだけを理解しておけば十分だが、傾向としては今後さらに高くなっていくので、単価の動きは注目しておいたほうがよい。

太陽光発電の付加金は2014年度で終了

 再生可能エネルギーの買取に関する2つの単価も計算方法は複雑である。そもそもなぜ2種類に分かれているかというと、2012年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が始まったことによる。

 以前から太陽光発電の買取制度があり、その費用を地域別に電気料金に配分する形になっていた。新しく始まった再生可能エネルギーの買取制度では全国一律に利用者が費用を負担することになり、別建てで電気料金に上乗せする必要が生じたわけだ(図6)。

fukakin_kansai.jpg 図6 「太陽光発電促進付加金」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金」の算定対象期間。出典:関西電力

 従来の太陽光発電の買取制度による付加金は2014年度まで続き、2015年度からは再生可能エネルギーの賦課金に一本化される。両方の単価とも1年単位で決める。2013年5月からの再生可能エネルギーの賦課金単価は0.35円である(図7)。

 再生可能エネルギーの賦課金単価は買取量の増加に伴って毎年上がっていくことが確実だ。ただし電力量料金の単価が10円〜25円前後であり、それと比べると1.5〜3.5%程度に過ぎない。今後さらに賦課金の単価が上昇して、電力量料金の単価の10%くらいまでの水準になると影響は大きく出てくる。

fukakin_tanka.jpg 図7 電力会社ごとの「太陽光発電促進付加金単価」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」

 以上が電力の使用量に応じた料金計算のベースになる単価の仕組みである。金額で見ると8割以上を占めるのが電力量料金単価で、これは利用者が選択することができる。第1回で解説した契約電力を下げることと合わせて、電気料金を安くする決め手になる。最適な契約メニューの選び方を次回から用途別に解説していく。

連載(3):「家庭・商店向けのメニュー」

連載(4):「店舗・工場向けのメニュー」

連載(5):「小規模ビル向けのメニュー」

連載(6):「中・大規模ビル向けのメニュー」

*電子ブックレット「知らないと損する電気料金の仕組み −第1章−」をダウンロード

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