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» 2013年06月26日 07時00分 UPDATE

自然エネルギー:予測を5割も上回るメガソーラーの発電量、「角度」をちゃんと計算したため

メガソーラーは設計時に年間発電量を見積もる。これで売電額が分かる。つまりメガソーラーは建設してしまえば、常に一定の収入を生み出す装置だ。これは正しい認識なのだろか。そうではない。新潟県燕市の事例は、設計の工夫と運用管理が組み合わさったとき、予想以上の能力が発揮できることを示している。

[畑陽一郎,スマートジャパン]
yh20130626Tsubame_map_250px.jpg 図1 燕市のメガソーラーの位置

 「1MWのメガソーラーの年間発電量の目安は100万kWh。これを9カ月あまりで達成した」。新潟県燕市の事例だ(図1)。どのように実現したのだろうか。

 燕市の施設「メガソーラーTSUBAME Site」は2012年7月に建設を開始、2012年8月下旬から東北電力に売電を開始した。出力は1MWである。市の見積もりによれば、年間発電量は96.1万kWhだった。ところが運用を開始してみると、どの月の発電量も予想を大きく上回った(図2)。

yh20130626Tsubame_month_590px.jpg 図2 月別発電量の予測と実際。出典:燕市

 当初の予測では累計で67万kWhにとどまっていたはずの2013年5月27日時点(280日間発電)で、100.2万kWhに達し、年間では予測を43.9万kWhも上回る140.0万kWhに達する勢いだ(図3)。

yh20130626Tsubame_result_590px.jpg 図3 発電状況と今後の予測。出典:燕市

 発電量が予測を超えた要因は燕市によれば複数ある。「1つは予想よりも天候に恵まれたことだ。2つ目は発電事業者*1)の日々の管理が良かったことだ。例えば燕市のメガソーラーでは雷の危険を察知してブレーカーが落ちるが、危険が去ったとき、事業者が素早くブレーカーを戻している。さらにこのメガソーラーでは太陽電池モジュールの角度が変えられるように設計した。冬は48度とした。これは低い太陽高度に合わせることと、雪が滑り落ちやすくするためだ。夏は逆に18度とした」(燕市、図4)。

yh20130626Tsubame_MS_590px.jpg 図4 メガソーラーの外観。一般的な架台とはかなり外観が異なることが分かる。出典:燕市

 2012年から2013年にかけての冬期は最大積雪深が20cm少なかったものの、燕市では例年12月から2月の期間、20cmから70cm程度の積雪が見られる。そこで、メガソーラーの設計段階から仰角を変更できる太陽電池モジュールを採用することが決まっていた。太陽電池モジュールの左右の端の中心に軸があり、軸を中心にシーソーのように回転する仕組みである。当初の設計が良かったことに加えて、運用管理がしっかりしていたことが発電量増加の理由だった。

 変換効率が高い太陽電池を使う、太陽電池モジュールの配置などの設計が優れているといった完成までの取り組みだけでなく、完成後の運用管理がいかにメガソーラー事業にとって重要なのかが分かる事例だといえる。運用管理が売電収入に直結するということだ。

*1) 燕市は一般廃棄物最終処分場跡地(約4万m2)をメガソーラーに転用することを決定後、公募により窪倉電設を発電事業者として決定。同社は市内に子会社であるPVP JAPANを設立し、建設工事を進めた。角度が変更できる架台は横田建設マネジメントが開発した。

【更新履歴】 2013年7月1日、図4を追加しました。

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